　【明慧日本2020年9月4日】陝西省岐山県裁判所は2020年8月18日、瀋紅奇さん、徐明俠さんなど、9人の法輪功学習者（以下、学習者）に対して不当な開廷をした。法廷で瀋さんの家族が依頼した弁護士と徐さんの家族が依頼した弁護士は法律に基づき、無罪の弁護を行った。そして、学習者たち本人も自己弁護をした。

　拘禁中の学習者4人は防護服を着せられ、手かせ足かせをつけられたままで入廷した。それを見て、瀋さんの弁護士は手かせ足かせを外すようにと要求した。しかし、警官は手錠を取り外しただけで、足かせを外さなかった。弁護士が再度要求すると、裁判官は弁護士の要求に同意した。

　公訴人は学習者たちの家から押収した私財を学習者の「犯罪の証拠品」として、提出した。これに対して、弁護士たちは「これらのものは提訴された罪名とは何の関連性もありません」と否定した。

　瀋さんは法廷で「1999年、フランスの日刊紙大手フィガロのインタビューを受けた当時の国家主席・江沢民は『邪教』の二文字で、自ら引き起こした法輪功への暴力的弾圧行為を正当化しました。そして、国内の『人民日報』もこれに追従しました。しかし、江沢民の発言も人民日報の記事も法律ではありません。2011年3月1日、中国新聞出版総署署長・柳斌傑は新聞出版総署令第50号を発布しました。『新聞出版総署が第5回規範性文書を廃止する決定』を発表し、法輪功出版物の禁止令を解除しました。ですから、法輪功の書籍や資料は合法であり『憲法』の第35条、36条に書かれている公民に与える権利でもあります」と述べた。

　また、瀋さんは「法輪功迫害の実態が書かれた小冊子の内容を読むように、また、家宅捜索で押収したDVDを流すように」と裁判官に要求した。しかし、裁判官は時間の関係でこれを断った。

　瀋さんの弁護士はいろいろな角度から、瀋さんが無罪であると答弁した。弁護士は「警官は本案件を処理する過程で6つ法律違反を犯したところがあります。中国の法律に法輪功が邪教だとはどこにも書かれていないし、中国の公式発表した邪教の12箇所の特徴と比較してみると、法輪功は邪教ではありません。『中華人民共和国刑法』の第三条に『法律に犯罪行為だとはっきり決められたものは、法律に基づき罪を問い処罰をする。法律に犯罪行為だとはっきり決めていないものは、罪を問うことができず、処罰してはなりません』と書かれています。法の中ではっきりと決められていないことは、罪にならないというのは刑法の基本原則です」と起訴書の内容を反駁した。

　弁護士はさらに、法輪功が宗教ではないことを各角度から述べ、法輪功創始者の説法の内容も引用して証明した。法輪功は組織がないので宗教ではありません。ですから、刑法第300条を使って、学習者に罪を問うのは荒唐無稽だと指摘した。法輪功は佛家功法で、健康に素晴らしい効果があること、全世界に広まっていること、全世界で中国だけが法輪功を鎮圧していることなどを話した。それを聞いて、公訴人は2回も弁護士の話を中断させようとしたが、弁護士は堂々と答弁を続けて、最後まで答弁書を読みあげた。

　その日、徐さんは体調が悪くて、弁護士に「体に力が入らず、歩くのにも体のバランスが取れず、夜もよく眠れない」などと話した。それで、弁護士は法廷で徐さんの保釈を求めたが、裁判官に書面で申請を出すようにと要求された。

　徐さんの弁護士は徐さんを陥れる資料の中から、習近平主席が梁家河で「插隊」（毛沢東の指導によって都市の知識人の青年を農村へ移り住ませること。習近平主席も若いころに插隊を経験している）のときの雑誌の写真を探し出した。「それも徐さんの罪の資料なのですか」と聞くと、公訴人は「これを証拠品には使わない」と言い、気まずい顔になった。

　徐さんの弁護士は法律の角度から法輪功を迫害する違法性を述べた。弁護士は「警官が家宅捜索して押収した法輪功創始者の写真や書籍などを使って、学習者を陥れたりするのは違法です。学習者たちは弟子として、師父に対して敬仰（けいぎょう：敬いあおぐこと）し、崇拝するのは当たり前のことです。というのは、法輪功の師父が学習者たちに元気な体を与えたからです。法輪功書籍は学習者の修煉を指導するもので、所持するのは当然なことです。法輪功が人に真・善・忍を教えていますが、それは素晴らしいことではありませんか。国は真・善・美を推進していますが、真・善・忍を提唱してもよいのではありませんか。忍はどうしてだめなんですか？　忍という行為は最も高尚なもので、トラブルを解決することができ、人に理性を与え、穏やかな気持ちになれるので、良いことではないでしょうか」と指摘した。

　弁護士は絶えず、公訴人の起訴内容に反駁し、その場にいる人たちも静かに聞いていた。休憩の時間に、ある裁判所の人員が弁護士に親指を立てて賛成の意を表し、弁護士と握手した。

　徐さんの弁護士は裁判官に中国政府が公表した14種類の邪教（法輪功は含まれていない）の文書と、2011年3月1日、中国新聞出版総署の署長・柳斌傑が新聞出版総署の第50号令を発布した通知を渡した。

　徐さんの娘は法廷で、家族の弁護人として、母親は法輪功を学んでから健康を取り戻し、真・善・忍で自らを律し、子供に良い人になるようにと教えたことなどを話し、良い母で尊敬できる母親だと述べた。

　徐さん本人は「今日、私たちを被告人として扱い、審判を受けさせるべきではありません。こうすることは誰にとっても良い事にはならないので、早く帰宅させてください」と話した。

　焦炳蘭さんも自己弁護した。焦さんは「私は良い人になるように努力してきました。法律違反を何もしていません。うちには借金があって早く返したいので、解放してください」と話した。

　当日、裁判所の前には警官や私服警官もいないし、パトカーも止まっていなかった。裁判は公開で行われ、家族も傍聴できたという。

（注：法輪功学習者を迫害している主要な責任者らの情報は、中国語のページを参照）