　【明慧日本2022年6月11日】（前文に続く）

　心性の昇華

　幼稚園を開園して5年が過ぎたとき、同修は以前勤めていた会社に復職しました。幼稚園の園児が増えていたので、私は保母を2人雇いました。

　ある日、私は幼稚園の家賃を払いに行き、お金を大家さんであるお兄さんに渡そうとしたところ、彼は受け取らずに顔を真っ赤にしてこう言いました。「あの、すみませんが、もうこの家を貸すことはできなくなりました。娘のビビが幼稚園を開園したいといっているのです」。それを聞いて私は、「なぜもっと早く言ってくれなかったのですか？　すぐに幼稚園をどこに引っ越せばいいのですか」と言いました。すると彼は「じゃ、もう1カ月待ちましょう」と言いました。

　幼稚園に戻って、職員たちにそのことを話すと、保母の張さんは「これは明らかにいじめですね。こんな短期間で移すところが見つかるわけがないですよね」と言いました。また保母の李さんは、「うちの幼稚園の子供が多いことがわかっているので、移す場所が見つからなければ、全員を娘さんの幼稚園に入れたいのではないでしょうか」と言いました。私は「実は開園する前、幼稚園の移転先を色々探したとき、幼稚園にぴったりの家が一軒あったので問い合わせてみたら、『賃貸はしない』と返事がありました」と話しました。

　保護者たちも、このことを知るといろいろな話をしてきたので、私も動じ始めました。ある保護者は、「先生、うちの子はあと半年で小学校に入るから、もう半年借りることができるか大家さんに相談してみたらどうですか」と言いました。私は、「そうですね、そうしてみましょう」と答えました。

　そこで私は、大家さんの娘のビビさんに「幼稚園を開くなら、半年私を雇ってれませんか？」と聞いてみました。するとビビさんは、「考えておきますよ」と微笑んで、返事をしてくれました。私は返事を待つことにしました。

　2日待っても、ビビさんから何の返事もなかったので、私を雇う気がないのだと理解しました。ここの幼稚園を去るまであと20日ありましたが、どうにもやりきれない辛い気持ちになりました。しかし、師父は「実は、皆さんは常人の中にある名、利、情が傷ついて苦悩を感じているとき、すでに常人の執着心を放下できずにいるのです」［2］と説かれた説法が頭に浮かんできました。

　私は、「幼稚園をやめると名もなくなり、経済面でも大きな損になる！　教えてきた子供たちに『情』があるから手放したくないのだ。これらは執着ではないか」と思いました。それで、ここ数日の自分の心境を振り返って、「とても利己的で、他人のことを考えず、自分のことばかり考えていた。ビビさんは無職で、他人の幼稚園を手伝ってきたので、自分の家を利用して、幼稚園を開くのは、当然のことだ。大法弟子として、ビビさんのことを思うと、喜ばしいことではないか」と、やっと、執着を放下でき、幼稚園を手放すことにしました。

　師父の按排で幼稚園に適する場所を見つけた

　ある保護者が私に、「先生、ある家が売りに出されたそうで、見に行きませんか？」と教えてくれました。その場所は私が気に入っていたあの家でした。以前その家の主は、賃貸も売買もしないと言い切っていたので、本当に信じられませんでした。

　私と家族は、すぐにその家を見に行きました。売りに出ていることを確かめ、「これは師父の按排だ」とわかりました。そして、すぐに家の主と話し合い購入しました。家には庭があり、部屋は明るく、大・中・小のクラスができそうで、台所、トイレも揃っていました。床暖房を敷き、内装など全てスムーズに進みました。私は年長クラスの教室に、法輪の図を左右に掛けました。正にここは幼稚園に最適な場所だったのです。

　幼稚園を新しい場所に引っ越し、もう1人保育士を雇いました。毎日、保護者が絶えず幼稚園を見学しに来ています。来た人は縁だと思い、入園するしないかにかかわらず、まず法輪大法の真実を伝え、三退を勧め、それから、幼稚園を紹介することにしています。

　授業の内容にあたっては、私は保育士や保母たちに、「真・善・忍という理念をもって、誠実、善良、寛容、嘘をつかない、人を殴らず罵らないことを教育し、伝統文化を用いて、子供たちの純粋と善良な本性を啓発したい」と伝えました。

　私は子供たちに、伝統的な物語である「三字経」（伝統的な中国の文化、歴史、哲学、天文学と地理、倫理、忠誠の孝行などを含む）、「弟子規」（孔子の教えを基に学生の生活規範を編成したもの）を話し、毎年の神韻公演のビデオを子どもたちに鑑賞させています。また、子供たちのかばんに法輪大法の真実が書かれた小冊子を入れたり、法輪大法の文言が書かれたお守りを子どもたちの首にかけたりしています。

　園児の食事も重視し、毎週異なるメニューの食事を提供し、できる限り、子供たちが好きなものを作り、高くついても買うようにしています。決して子供たちが栄養不足にならないように注意を払っています。食材の費用を減らせばもっと稼げるのですが、大法弟子という肩書きにふさわしいことをしなければならないとよくわかっているからです。

　保育士から「『轉法輪』を読みたい」

　師父の教えに従い、何事もまず人のことを優先に考えるようにしています。私は、スタッフが何日休暇を取っても、賃金を減らさないことにしています。経済的に困難な家庭の園児には、保育費を少なく請求しています。給与計算の時は、スタッフに多く与えています。なぜならスタッフたちは私より多く働いていると思っているからです。正月などの祭日になると、保護者から贈られたプレゼントは拒否していますが、拒否できない場合は、他のプレゼントを買ってお返ししています。

　スタッフたちにも子供たちにも、私が大法を学んで修めた善を持って接しています。ある保育士から『轉法輪』を読みたいと申し出がありました。トンちゃんという子の両親は離婚しており、高齢の祖母は健康状態が悪いので、保育士の1人は自らトンちゃんを迎えに行きました。もう1人の保育士は、休日を利用してよくトンちゃんの家に行き、トンちゃんをお風呂に入れたり、服など洗濯したり、爪を切ってあげたり、自分の子供の服をあげたりしています。トンちゃんの祖母は「幼稚園の先生たちはとても優しいです」とよく周りの人に言っています。大法の修煉をしていないスタッフたちは、「私たちも、『真・善・忍』に従って良い人になるようにしなければならない」と言いました。

　幼稚園の園児がどんどん増え、ベッドが足りなくなり、テーブルやベンチまでベッドとして利用しています。教育委員会の人が視察にきて、「園児がたくさんいるから、増築してください」と言いました。

　そのため、これ以上園児を入れないようにすることにしました。しかし、ある子の親が、私の夫まで訪ねて来て、「もう1人入れてくれませんか？　お願いします」と頼みました。夫は「本当にこれ以上は無理です。他の幼稚園に行ってみてはどうですか」と言いました。その親は、「この幼稚園は、食事も教えもとても良いという噂を聞きました。奥さんは法輪功を学んでいるので、心がとても優しいと聞いています」と言いました。

　私は、真・善・忍の素晴らしさを子供に感じさせようとしています。子供たちの前で私は子供のように、一緒に遊んだりします。毎年、子供の日には、プレゼントやいろいろな食べ物を用意し、子供たちの演目も行い、親とも交流をしています。子供たちにさまざまな衣装を着せて、ショーを行うこともあります。カメラマンを頼んで、子供たちの楽しい子ども時代を記録することにしました。

　師父の慈悲深い保護のもと、十数年間、私は自分の仕事を利用して大法を広め、大法の素晴らしさを実証し、智慧を持って大法弟子がやるべきことを行っています。多くの保護者たちに大法の真実を伝えて理解させることができました。法輪大法の素晴らしさと「真・善・忍」の純粋さで、子供一人一人を浄化しているのです。

　（完）

　注：
　[1] 李洪志師父の著作：『轉法輪』
　[2] 李洪志師父の著作：『精進要旨』「真修」