　【明慧日本2023年12月29日】「39、40、41…」とノアさん（Noah）は汗を流しながら腕立て伏せを数えていました。ノアさんはドイツ連邦軍の新兵です。新兵は厳しいテストに合格しないと残れないので、試験に落ちると解雇されてしまうのです。ノアさんはなぜ軍隊に入ったのでしょうか？

ノアさん、25歳（訳注：2021年）　

　１、テレビゲームへの執着により、礼儀正しい少年が消えた

　ノアさんは、ドイツのグラッドベックという、オランダとの国境からほど近い小さな町で生まれました。彼の祖父母は敬虔なクリスチャンです。子供の頃は毎週日曜日にスーツを着て、大人と一緒に教会に行く物静かで礼儀正しく、整然としたものが好きな従順な子どもだったのです。

　ノアさんの仲の良い幼なじみが近くに住んでいました。彼が15歳のとき、その友人は彼にビデオゲームを紹介すると、ノアさんはすぐに夢中になって、心の中では間違っているとわかっていても、やめられなくなったのです。

　かつては礼儀正しかった子供が、不機嫌な子に変わっていったのです。母親にゴミ出しなどを頼まれると、「邪魔しないでくれよ。僕は今、とても重要なラウンドをプレーしているのだから」と答えました。

　このままではいけないと思った彼は、その強迫観念をやめようと必死になっていました。しかし、やめようとするどころか、プレーする時間が増えてしまいました。学校から帰宅するとすぐに、ランドセルを玄関に置いて自分の部屋に直行し、ゲーム機の電源を入れ、リモコンを手に取り、仮想世界に入っていきました。

　そして、「自分を律することができない自分に腹が立った」と振り返ります。友達と一緒にゲームをしている時は幸せな時間を過ごしていましたが、その後は不幸になりました。イライラして、本を読むのも嫌でした。それは、自分が望んでいた行動ではありませんでした。

　彼が毎日スクリーンの前に座り、目を赤く腫らし、頬をこけさせているのを見ていた母親は、何度も彼にゲームをやめるように頼みました。ノアさんは、「ゲームが悪いことだとわかっていても、やめられなかった。遊ぶのをやめたいと思っていたけど、友達から電話がかかってくると、我慢ができませんでした」と話しました。

　２、ゲームをやめるために軍に入隊

　彼は高校卒業を目前に控えていました。彼は次に何をすればいいのかわからなかったのです。彼の学力では大学に入る資格がなく、どんな仕事にも就きたくないと思っていました。彼は自分の住む小さな町から離れ、昔の友人を避け、ゲームをやめたいと思っていました。

　「私の祖父は、ドイツ統一軍の精鋭部隊に所属していました。彼らは毎朝12キロの距離を走ってウォーミングアップをしてから、一日をスタートさせていました。私は祖父を尊敬しています。私の兄は軍にいました。彼は時折、自分の人生について話してくれました。私は、毎日の厳しい自己管理と明確な目標を楽しみにしていました。兵士は名誉と責任を持っていると感じました。プロの兵士になるのもいいかなと思いました」

　彼は2年の兵役を経て、将来を決めることにしました。いずれにしても、ゲーム機からも友人からも離れなければならないのです。そこで、ノアさんは18歳になるとすぐに兵営行きの列車に乗り込んでいました。

　３、思いがけない収穫

　兵舎での生活は規則的で厳しく、新人にとっては「転ばぬ先の杖」が毎日の目標です。毎日5時に起床し、0時に就寝する。日中は、泥や砂の中で練習し、銃の撃ち方を覚えたり、障害物を飛び越えたりしました。最初の1カ月は特に大変でした。夜、寮に戻ってから、銃の手入れや制服の整理、バラックの掃除などをしなければならないこともありました。毎日、持久力の限界を感じていました。

　ノアさんは運動神経が良い方ではなく、歯を食いしばって訓練を受けていました。しかし、これは彼が望んでいたことだったのです。

　ある日の午後、ノアさんが他の若い兵士と楽しそうに話をしていると、その兵士が突然、「ちょっと坐禅してきます」と言ってその場から離れました。ノアさんは「坐禅って何ですか？　何をしますか？」と聞きました。

　兵士は「私は法輪大法を修煉しています。とてもいいですよ」と言いました。ノアさんは彼にいくつかの質問をし、法輪大法の原理である「真・善・忍」について学びました。彼は興奮しました。日常生活で聞いたり見たりすることをはるかに超えていました。

　兵士はノアさんに、「分かりやすく言えば、法輪大法を修煉することは、実際に誠実で親切な人間になり、他人に寛容になることです」と言いました。

　ノアさんは、「正統派の宗教はすべて、人に善良であれと教えている。この修煉は、すべての主要な宗教よりも深遠に聞こえる。目的を持って生きていれば、人は良い人になれるのではないだろうか」と考えました。

　ノアさんは、一筋の太陽の光が部屋を照らしたような気がしました。「真・善・忍の原則が私の心を満たし、兵士は私に五式の功法を教え、『轉法輪』という本も貸してくれました」と言いました。

　兵役は厳しいものです。法輪大法を学び、修煉することで、ノアさんは正のエネルギーに満たされ、持久力が増したと感じました。彼は驚きました。

　４、真・善・忍が人生に新たな意味を与える

　ノアさんは、時間があるときにはいつも『轉法輪』を読んで穏やかで落ちついた気持ちになりました。特に、「真・善・忍」という三文字は、彼を完全に納得させました。彼は「日々の生活の中で、真・善・忍を実践し、私の人生に意味を与え、この三文字で完全に満たされました。法輪大法はとても素晴らしい、もっと知りたいと思いました。

　彼は暇さえあれば『轉法輪』を読んでいました。食事の後、バスに乗っているとき、あるいは信号待ちのときにも読んでいました。ある日、彼はホームの端に座って電車を待っていました。人通りも少なく、邪魔にならないので、本を読みながら、彼は大きな平和と喜びを感じていた。その時、小雨が降ってきて、彼の頭に雨が降り注いでいました。ノアさんはすぐに立ち上がって、荷物をまとめて、雨宿りに行けばよかったのですが、まだ本を読みたかったのです。雨が降り続く中、座って本を読み続けていました。手には少し冷たい雨粒が落ち、頭には雨の玉が当たり、本は少し濡れて紙に染み込んでいくのを感じましたが、それでも、やめたくありませんでした。電車が来て乗り込むと、まるで雨が降っていなかったかのように、本は完全に乾いていて、水の痕跡もなかったのです。

　５、テレビゲームへのこだわりが復活

　2年の兵役の後、デュッセルドルフに移り、専門の高校に通っていました。デュッセルドルフはグラッドベックから60キロしか離れていないところです。大人になって初めての家はわずか18平方メートルでしたが、時々家族や幼なじみと一緒に過ごすことができました。

　興奮したノアさんは、コンピューター、コントロールパネル、ソフトウェア、キーボード、さらには昔の友達とコンピューターゲームをするための特等席など、最先端の機器を買い揃えました。

　ノアさんは、すぐにゲームの世界で勝利の将軍としての地位を取り戻しました。しかし、彼は自分が戦い、リードをつかみ、相手を傷つけていると感じていました。

　自分の幸せや成功は、他人の苦しみの上に成り立っていたのです、ゲームをすると攻撃的になり、イライラするのは本当の自分ではありませんでした、と彼は振り返ります。

　６、テレビゲームへの執着がついに消える

　彼は、軍隊にいたときよりも熱心さには欠けていましたが、『轉法輪』を読み、毎日行うべきことはしていました。

　読んでいると、善良な人間であることを思い出します。ある日、パソコンの電源を入れたとき、彼は途方に暮れていました。自分は何をしているんだろう？」と画面をぼんやりと見つめていました。僕は何をしているんだろう？　僕はなんてバカなんだろう？　人生を無駄にしているのではないか？　と思うと、躊躇することなく、ノアさんは飛び上がり、すべての機器のプラグを抜き、すぐにそれをすべて売ってしまいました。もう、あの満足感や興奮は味わえません。

　７、春の香りがするような感じ

　テレビゲームをやめたノアさんは、元の生活に戻りました。毎日2時間の煉功と、できるだけ多くの時間、『轉法輪』を読み本を暗唱するようになりました。彼はエネルギーに包まれているのを感じ、人生が平静になっていくのを感じました。

　第五式の神通加持法を煉るノアさん

　ノアさんは礼儀正しく、責任感が強く、学校での授業にも熱心に取り組んでいます。彼は、「李洪志師父は、学生はよく勉強すべきだと説かれていました。私は、宿題をすべて終わらせるように努力すべきだと思います。そうすれば、自然と試験の成績も良くなるでしょう」と語りました。

　彼は、脳の容量が大きくなり、多くの知識を蓄えることができるようになったと感じています。頭も冴えてきました。彼は職業高校のコースを難なくこなし、優等生として卒業しました。

　現在、ノアさんは不動産業者として働いていますが、この仕事がとても気に入っています。毎日、いろいろな人と交流し、いつも法輪大法の素晴らしさを伝えています。

　ノアさんは今、午前3時半に起床し、30分近くかけて公園まで歩いて行き、煉功を行っています。静かな道を歩いていると、春がすぐそこまで来ていることを実感します。