ーー武徳を重んじた伝統の復興

　【明慧日本2024年9月13日】新唐人テレビ主催の「第8回世界中国伝統武術大会」はニュージャージー州ウォルドウィックで開催された。91人の武道家が３日間にわたる熱戦の末、9月2日に終了した。金賞2人、銀賞11人、銅賞41人が受賞した。

　金賞を獲得した台湾の劉大雁選手と、ドイツのオウヤン・デケ選手には、それぞれ5,000米ドルと青雲刀鋳造芸術館の3代目である陳重智氏が製作した刀が贈られた。その他の出場者には優秀賞、新人賞、継承貢献賞が贈られた。

新唐人テレビ主催の「第8回世界中国伝統武術大会」に参加した選手の集合写真（大紀元時報）

　「世界中国伝統武術大会」は、新唐人テレビが中国伝統文化の復興と普及を目的に主催する一連の文化コンクールの一つである。同大会の審査委員長である李有甫氏は、大会の特徴は「武徳と伝統を重んじた」大会であると強調した。

　審査員「ますます多くの伝統武術が見られ、伝統の復興には大いに希望がある」

　大会の審査委員長である伝統武術家の李有甫氏は、中国伝統武術の核心は「武徳」にあると述べ、新唐人テレビが16年間「伝統武術大会」を開催し続けているのは、現在の中国で武術が破壊されている現実の中で、伝統武術を「復興」するためだと話す。

　李氏は、武術は中国の修煉文化に由来するため、「武徳」とは道徳を重んじることだという。李氏によれば、現在では「武徳」を重視する伝統武術はほとんど残っていない。中国武術の故郷である中国本土では、武術はすでに中共によってほとんど破壊されており、「新武術」が蔓延しているばかりか、好戦的で攻撃的な格闘技が武術として扱われていると指摘した。

　李氏は「実際のところ、真の武術の達人は人と競い合うことはせず、行動を起こさなければ敵に近づくこともできず、戦わずして勝つこともできません。なぜなら、彼らが修煉によって『功』を得ているからです。新唐人テレビは、伝統武術を掘り起こし、探求し、保存し、復興するために、16年前からこの『伝統中国武術』大会を開催しています」と述べた。

　「まず、徳を重んじ、名誉や利益を淡泊にみることが重要です。これは伝統武術と伝統文化の復興という大義のために、この大会を開催しているのです」と李氏。同氏はさらに、「今年は最も多くの伝統武術が登場した年であり、それは私にとって喜びと満足を感じさせます。伝統武術の復興には大いに希望があります。今後、さらに多くの伝統武術の選手が参加し、武術を修める人もそうでない人も、もっと多くの人々が中国伝統武術を理解してくれることを願っています」と語った。

　審査員の楊飛龍氏は、「新唐人テレビの大会は、他の大会のように優れているものと劣っているものも入り混じっているのではなく、武術ではないものを混ぜていないません」と述べた。

　「新唐人テレビの大会で最も重要なのは、競技そのものであり、本物の伝統文化です。各門派の伝承や演武の過程を真に皆さんに披露し、観客が心から集中して中国文化を鑑賞し、味わえるようにすることが最も重要です」と楊氏は話す。

　楊氏は、「さらに、今回の大会はより内容が豊富で、選手も多く、より伝統的です。最も重要なのは、みんなの心構えが非常に良いことです。勝敗にこだわらず、互いに学び合い、伝統武術を継続していくことに重きを置いています」と語った。

　選手「新唐人テレビの大会は伝統を復興し、『武徳』を重んじている」

　男子拳術部門で金賞を受賞した台湾選手は今回で5回目の参加で、これまでに金賞と銀賞を受賞している。彼は以前、「たとえ賞を取れなくても、自分はこの大会に参加し続ける」と言ったことがある。

拳術部門で金賞を受賞した台湾の劉大雁選手（大紀元時報）

　「毎回大会に参加するたびに、自分がとても多く成長していると感じています。ほんの少しの成長ではなく、大きな成長です」「学校の試験に似たところがあります。準備の過程でたくさんのことを経験しましたが、今回最も大きな違いは、これまでの五回の大会の中で最も落ち着いていたことです。特に試合前は非常にリラックスしていました」と劉選手は語った。

　もう一人の男子器具部門の金賞受賞者、ドイツのアイケ・オプファーマン選手は、自分が金賞を受賞するとは思っていなかったという。「何も取れなくても、私は参加します」「武術の精神は名利を超えています。私は武芸を示するためにここに来ました」と話すオプファーマン選手は、「武術の練習は単なる技術の習得ではなく、私のライフスタイルそのものになっています。これからもずっと続けていくつもりです」と話した。

男子器具部門で金賞を受賞したドイツのアイケ・オプファーマン選手（大紀元時報）

　男子器具部門で銀賞を獲得した台湾の陳少軒選手は、今回で新唐人テレビの大会に3度目の参加。前の2回は銅賞を受賞しており、今回は自身の進歩に非常に満足しているという。

　陳選手は前回の「月牙鏟（げつがさん）」の演技は、多くの技を組み合わせて組み立てたものだったが、新唐人テレビの大会に参加してから、新唐人テレビが求めているのは本物の伝統武術だと分かった。だから今回は、少林のオリジナルの「大六合槍」に決まった動作を使用したという。陳選手は、「新唐人テレビが行っていることは正しいと思います。新唐人テレビはみんなを伝統の道へと導いており、まったく妥協しない。新唐人テレビの大会が私を正統な武術の道に導いてくれました」と述べた。

男子器具部門部門で銀賞を獲得した台湾の陳少軒選手（大紀元時報）

　ボリビアのセルヒオ・トーレス選手は、酔拳の演技で男子拳術部門の銀賞を獲得した。コロンビア出身の16歳の少年アルミラリ・ピンソン選手は、少年拳術部門で銅賞を受賞した。両選手とも、大会が重んじる武徳や伝統を大切にする理念に共感しているという。

少年拳術部門で銅賞を受賞したセルヒオ・トーレス選手（大紀元時報）

少年拳術部門で銅賞を受賞したアルミラリ・ピンソン選手（大紀元時報）

　台湾「蟷螂拳打撃芸術協会」会長の施正忠氏の娘である施以真選手が、梅花蟷螂拳二段の演武で女子拳術部門の銀賞を受賞した。前回の新唐人テレビ武術大会では銅賞を獲得している。施選手は、この大会の趣旨に賛同し、伝統武術の真髄を伝えることが、大会に参加する原動力になっていると語った。

女子拳術部門の銀賞を受賞した施以真選手（大紀元時報）

　「私は大会の理念を支持しています」と話す施以真選手は、伝統武術を多くの人に知ってもらうために、良いプラットフォームを作ることが非常に重要だという。「今では多くの人が派手で目を引く新しい武術に興味を持っていますが、非常に伝統的で文化的な価値を持つものは軽視されがちです。だからこそ、そうした武術を広めるための舞台やプラットフォームが必要です」と施選手は語った。　

　観客「ハイレベルな競技穏やかなな雰囲気」

　ペンシルベニア州の人事マネージャーで武術の経験を持つリヴ・セグラさんは、2日連続して選手の試合を観戦した。彼女はこの武術大会が中国伝統文化の精髄を体現しているという。「とても素晴らしいです。選手たちは本当に自分を表現していて、武徳、つまり道徳を重んじ、相手を攻撃するのではなく、精神的な要素が多く含まれています」とセグラさん。また、試合の雰囲気がとても気に入ったとも述べており、「ここには友好的で協力的な雰囲気が漂っていて、皆が兄弟姉妹のように善意を放っています」とセグラさんは話す。試合を観戦した後、セグラさんは再び武術の練習を再開するべきだと感じ、そして新唐人テレビ武術大会が毎年開催されることを望んでいると話した。

新唐人世界中国武術大会のレベルが高く、穏やかな雰囲気と賞賛する観客のリブ・セグラさん（大紀元時報）

　ニューヨーク州の中学校の教師ミケリーナ・パーマーさんが武道を学ぶ息子と共に決勝戦を観戦した。彼女は、試合で強調される武徳の精神が子どもの成長や社会全体にとってとても重要だと考えている。

決勝戦を観戦したミケリーナ・パーマー親子（大紀元時報）

　「私と息子はオンラインで新唐人テレビの大会の背景について少し勉強しました。息子が武徳の精神について読んだ内容は、非常に重要で深いものだと思います」とパーマーさん。「現在の社会には暴力や争いが溢れていますが、ここでは善良な人であること、弱い人を守ること、暴力を止めるために武道を学ぶことが語られています。息子にとって、こうした道徳や規律を幼い頃から学ぶことはとても良い機会です。技能を使って他人を傷つけたり、悪事に誘惑されたりすることはできません。武道は善を成すためにあるべきで、誠実に他人に接し、正義を守ることが大切です。これが何よりも素晴らしいことだと思います」とパーマーさんは語った。