文／ニューヨークの大法弟子

　【明慧日本2025年6月11日】修煉者は法を基準にして物事を判断すべきです。しかし、私は多くの場合、自分の好みによって人や物事を判断しており、それに気づいていませんでした。いくつか例を挙げます。

　今年、神韻公演を鑑賞したときのことです。私は二階左側にある臨時に開放されたボックス席に座っていました。後半のプログラムが始まった時、一階の前方の端の席に座っていた人がスマートフォンをいじっているのが見えました。そしてその人のスマホ画面には司会者の映像が映っていました。その後、演目が始まっても、その人はずっとスマホをいじるのをやめませんでした。

　最初は、警備員が注意しに来るだろうと思っていたのですが、しばらく待っても誰も現れません。そこで、私は二階の警備員にここを注意するよう合図を送りましたが、彼は別の方向に集中していて、私の合図に気づきませんでした。

　責任感から私は黙っていられず、警備員のもとへ歩いて行って「誰かが録画していますよ」と伝えました。彼は「見えていませんよ」と答えました。私は少し苛立ちを覚えましたが、我慢して穏やかに「ちょっと来てください。場所を教えます」と言いました。すると彼は喜んでついて来てくれました。彼は死角の中に確かに録画している人物がいるのを確認し、下の階の警備員に対応を依頼しました。

　私はこの警備員のことを以前から知っていて、彼が地元の警備責任者であることも知っていましたが、彼は私のことを知りません。私は彼に対して以前あまり良い印象を持っていませんでした。というのも、彼らはいつも規則を強調していて、私にとっては居心地が悪く、「付き合いにくい人だ」と感じていたからです。

　しかし今回の出来事でわかったのは、彼は私が思っていたような厳しい人ではなく、むしろ人から指摘されたことに素直に耳を傾け、問題に積極的に対応する、誠実で優しい人だったのです。

　そして、これまでの彼に対する反感は、自分自身の問題から来ているのだとやっと気づきました。私は、穏やかな人が好きで、規則にうるさい人が嫌だと思っていたのです。自分の気分次第で行動しても、誰にも注意されることがなかったので、たまに規則を重んじる人に出会うと、自然に嫌悪感を抱いて拒絶してしまうのです。法に照らして判断することもなく、嫌だと感じた時に、自分に問題があるかどうかを考えることもしていませんでした。こうして、自分勝手で自由奔放な性格が、今に至るまで続いてきたのです。

　自分を振り返ってみると、私はこれまでずっと、自分に厳しい人を避けてきたように思います。相手が少しでも厳格な態度を見せると、私はすぐに不機嫌になり、「この人は思いやりがない、大法弟子らしくない」と決めつけてしまっていました。結局のところ、自分の好みに従って、思うままに振る舞いたかっただけなのです。

　率直に言えば、私の「好み」とは、矛盾から逃げたい、苦しみたくない、自分さえ快適でいられれば他人のことはどうでもいい、という考えに過ぎません。もし大法弟子がこのような好みにばかりこだわり、常に自分を優先させようとして、自分が満足することばかり求めていたとしたら、他人やプロジェクト、さらには衆生の救いについて考えなくなり、多くの悪影響をもたらしてしまうでしょう。

　たとえば、中共のスパイの潜入や組織的な活動においても、多くの同修の執着心が拡大され、利用されてしまったかもしれません。邪悪は、私たちの「好みにこだわる心」を巧みに利用し、厳しい人を嫌わせ、甘やかしてくれる人を好ましく感じさせます。その結果、スパイたちは人情を操り、大勢の人々を思いのままに動かすことができるようになるのです。すべての原因は、人情に縛られ、大法を忘れてしまっていたのだと思います。