文／中国の大法弟子

　【明慧日本2025年6月16日】私はかつて、演説という形式で法を乱し、大きくつまずいた弟子です。そのときは、自分では「同修の精進を助けている」と思っていましたが、実際には多くの人心を抱えたまま、自分を証明しようとしていたのです。「明慧編集部」からの厳しい指摘を受けて、私はようやく心を静め、内に向かって自分を探し、改めて自分自身を見直すようになりました。その過程で、名誉を求める心、顕示心、自分を証明したい心など、10を超える人心を見つけ出し、それらを捨てようと決意しました。

　これらの心は、実際の修煉の中で少しずつ弱くなってきたものの、完全に取り除くことはできず、時折、顔を出すことがありました。さらに修煉を深めて内に向かって探っていくうちに、私はある非常にしぶとく、しかも気づきにくく、すでに自然と化してしまっている心を見つけました。それが、「自分はなかなかできている」という思いでした。

　学法の中で私は、「佛でさえ自分をうまく制御できないと堕ちるのです。ましてあなたは常人の中で修煉する人ですから、なおさらのことです！」（『轉法輪』）という一文を読んで、この一言が、法の背後にある一つの基準を私に示してくれたのです。天の佛や神でさえ、「自分はできている」と一念でも思えば墮ちてしまうのです。私はその瞬間、はっと目が覚め、心から理解しました。この心は非常に厳粛かつ厳格に取り除かねばならないものであり、修煉者として必ず基準を達成しなければならないのだと悟りました。

　一、「自分はできている」という心は魔から来たもの

　私は日々の修煉の中で、「自分はできている」という心を重点的に取り除こうとしてきましたが、その根が非常に深いと感じていました。修煉をさらにミクロへと進めていくにつれて、私は少しずつその迷いの層を取り除いていきました。そしてついに、驚くべき事実に辿り着きました。この心の背後には、非常に高い次元にいる魔が存在していたのです。見た目は高級な生命のようでありながら、その身体は灰色をしており、その粒子はマクロからミクロの空間に至るまであらゆる層に広がっていました。この魔は大法弟子の身体の中に非常に深く潜み、思考の一つ一つを操り、修煉に重大な妨害を与えるだけでなく、執着のある大法弟子を操って法を乱す行為を引き起こし、全体の中に混乱をもたらしているのです。この魔は多くの大法弟子を堕落させており、その害は極めて深刻です。だからこそ、私たちはこの魔の正体をはっきり見極め、「自分はできている」という心を修めて取り除き、さらにこの魔そのものをも清めていかなければなりません。

　「自分はできている」という心には様々な思想や反応が付随しています。たとえば、「自分は法をよく学んでいる」「自分は法を証実する行動がうまくいっている」「自分は精進しており、苦労も厭わない」と感じること。これらのいずれか一つでもあれば、「自分はできている」という感覚が生まれてしまいます。さらには、自分のどこかが他人より優れていると感じた時にも、それが自然と表れてしまうのです。この心は、同修同士の間にトラブルを引き起こし、協調がうまくいかなくなります。「自分はできている」と思っていると、独りよがりになり、他人の意見が耳に入らなくなります。「自分の考えのほうが正しい」「自分のほうが賢く、見識がある」と考え、自分を中心に物事を進め、他人を顧みず、得意げにふるまい、上から目線になってしまい、協調しようとしなくなります。特に、トラブルの中にあるときほど、「自分は正しい」と思う心が強まり、魔がさらにその思考を強化してきます。そして「自分だけが正しい」という誤った認識に囚われていくのです。この心を取り除けないままでいると、魔に利用されてしまい、大法弟子がともに法を実証する際の妨げになるのです。

　この「自分はできている」という心は、私たちの心性を非常に脆弱にします。ちょっとした念が動いただけで、あらゆる執着が次々と現れてきます。この心を取り除いたとき、私は多くの執着が根っこからごっそりと修められたのを感じました。心性はより安定し、心のあり方もより清らかで慈悲深くなったのです。

　二、「自分はできている」という心は、自分の心より魔が生じることの根源

　修煉を始めたばかりの頃、私は「自分の心より魔が生じること」などという問題は自分には関係ないと思っていました。けれども修煉が深まるにつれ、「自分はできている」と少しでも思った瞬間、それがすでに自分の心より魔が生じる状態に入っているということに気づいたのです。この心を修煉の中で意識的に取り除こうとしないでいると、やがてどんどん肥大化し、最終的には自分を律することができなくなって、修煉そのものを台無しにしてしまう危険すらあります。

　この魔の妨害は非常に巧妙で隠れた形で行われます。たとえば、この魔は思考の中で「あなたはすごい」「よく修めている」といった言葉で持ち上げてきます。思考の中にふと湧いてくる「自分はできている」といった念も、自分の考えだと思い込んでしまいがちですが、実はそれは身体の微細な部分に潜んでいる魔が発しているものであることもあるのです。この魔は様々な形で思考を反映させ、気づかないうちに「自分はできている」という心を生み出させます。もし私たちがそれに気づかず、さらにその思考に引き込まれてしまうと、魔はそれをさらに強化し、次第に人心を膨らませていきます。そして最終的には、本当に自分の心より魔が生じることを引き起こし、堕ちてしまうのです。ですから、私たちは思考の中にわずかでも「自分はできている」という念が生まれたら、すぐに警戒しなければなりません。それを正しく見抜き、修煉者としての道を確固たるものにして、真に大法弟子としての実修の道を歩み続けることができるのです。

　三、この心は師父と法に対する重大な不敬であり、重ければ師父を裏切り、魔道に堕ちる

　修煉する前の私たちは、ただのごく普通の常人にすぎず、何の力も持っていませんでした。修煉を始めてからは、師父が私たちを地獄の名簿から除いてくださり、身体を清め、あらゆるものを授けてくださいました。偉大なのは師父であり、決して自分が「すごい」わけではありません。「自分はできている」という心は、無意識のうちに自分を一番上に置くようになり、師父と大法を第一に置く心を失わせてしまいます。この心は、私たちの師を敬い、法を敬う気持ちに深刻な妨害をもたらし、重くなれば邪念を生み出し、邪道へと向かわせてしまいます。

　たとえば、「自分はできている」という心から、傲慢さやうぬぼれが生じ、法を実証する中で少しでも成果があれば、すぐに慢心し、自分に酔ってしまいます。「自分は法をよく修めている」「自分は法理にかなっている」「自分はすごい、能力がある」などと思い、自分の修煉状態に満足し、知らず知らずのうちに自分を高い位置に置いてしまうのです。そして、それが師父に対する誠実さを損ない、時には師父よりも自分が上だと思い込んでしまうようになります。さらに、魔難に直面して乗り越えられないとき、常人の基準で師父を評価し、不満を抱き、時には師父を恨むような心さえ生まれてしまいます。これは極めて重大な問題であり、ひどい場合には、師父や大法を中傷するという大罪にまで至るのです。この点については、私たちは自覚して修めていかねばなりません。

　私たちを救い上げてくださったのは師父であり、円満成就まで導いてくださっているのも師父です。少しでも何かを成し遂げたからといって、「自分がすごい」などと思ってはなりません。それは「天の功績を盗む」ことにほかなりません。修煉の最初から最後まで、この謙虚な心を持ち続けなければ、魔はすぐさま、師父への不敬の念を強め、身体のミクロにまで妨害を及ぼし、師父に対する「魔の念」へと変質させ、最終的に修煉者を堕落させてしまうのです。

　四、なぜ「自分はできている」という心はこれほどまでに頑固なのか？

　師父の説法「人の目は人の理を知る」（『洪吟四』「随筆」）から悟りました。人間とは本当に哀れな存在で、迷いの空間に閉じ込められ、宇宙の真相を見ることができずにいながらも、自分をこの空間の高等生命だと思い込み、まるで自分がこの世界を創造しているかのように錯覚しているのです。

　私たちはこの認識を根本から変えなければなりません。宇宙の中には、無数の生命が存在しており、自分などはその中の取るに足らない小さな一生命にすぎません。宇宙の各次元に存在する生命の環境や、それぞれの生命が持つべき能力は、すべて大法によって築かれたものであり、それらすべては師父の力によって成り立っているのです。つまり、私たちが持っているすべては、師父から授かったものなのです。

　この理に気づいたとき、私は「誰が高くて誰が低いか」という観念を打ち破ることができました。なぜなら、この宇宙において、どれだけ高い生命であろうと、どれだけ大きな力を持っていようと、あるいはどれほど低い存在であろうと、そのすべては師父から与えられたものだからです。ただ、それぞれが宇宙の異なる環境で存在しているにすぎないのです。私たちを創造してくださった神に対して、心からの限りない敬意を払うべきではないでしょうか？　最も純粋な心で、無限の敬仰の気持ちをもって師父と大法に感謝すること。これこそが、大法弟子が師を敬い、法を敬ううえで到達すべき基準であると私は悟りました。

　五、「自分はできている」という心は、法を乱す根源

　私はかつて、地元で何度も演説という形で法を乱してしまいました。表向きは「正念正行をどう保つか」「旧勢力をどう否定するか」「三つのことをどううまく行うか」などを語っていましたが、実際には着実に修めることをおろそかにし、名誉を求めたり、自分を見せびらかしたり、自分を証明しようとしたり、自分の考えを過信したり、優越感を抱いたり、同修よりも上に立とうとしたり、人を導こうとするような多くの人心を持ったまま、自分自身を誇示していたのです。その結果、同修の師父と法への信念を深く妨げ、大法そのものに損害を与えることになりました。

　そのうち私はうぬぼれ、自信過剰になり、さらに支配的な性格へと傾いていきましたが、それを「自分は正念が強いからだ」と勘違いしていました。いわゆる演説を繰り返すうちに、「自分はすごい」「自分は特別だ」といった傲慢さや思い上がりが増し、それに乗じて、師父や法への敬意を失わせようとする考えや、師父に対する悪しき念が、魔によって私の思考の中に次々と挿入されていきました。これは私を堕落させようとする明確な妨害でした。

　私は内に向かって絶えず修煉し、「自分はできている」という心を見つけるたびに発正念で清めていきました。すると、私の身体の各層に、この魔が深く潜んでいることに気づきました。私は着実に修めることを進め、心性を高める中で、一つ一つの思いや念にその影を見つけ、それを見抜き、認識し、粘り強く清めていったのです。そして修煉を深めるうちに、マクロからミクロまで、あらゆる層でこの魔を取り除いていきました。

　また私は、過去に法を乱すことに関わった同修たちの身体の中にも、同様の魔が存在していることに気づきました。着実に修めることが伴っていないため、さまざまな人心が魔に操られ、識別が難しくなり、大法や全体に損害を与え、また自身の修煉にも汚点を残してしまったのです。ですから、私は皆さんに呼びかけたいと思います。この「自分はできている」という心を、全員で徹底的に清めましょう。特に、法を乱すことに関わった経験のある同修は、この心を必ず取り除かねばなりません。私たちは再び正しい道に立ち返り、再びしっかりと修め、真に清らかで純正な大法弟子となりましょう。

　【修煉者同士の理性的な交流は、一般的に、その修煉者がその時点で修煉を通して得た認識に基づいたものであり、善意を持って交流し、互いに向上することを目指すものです。】