文／台湾の大法弟子

　【明慧日本2025年6月18日】ひとつの生命が、天災や疫病といった人間の力では抗みきれない困難に直面したとき、生き延びたいという本能から、神のご加護を祈り、生きる道を探し求めようとします。そうした極限の状況にあって、人は初めて、自分の命がいかに脆く小さなものであるかに気づくのかもしれません。けれど、慈悲深い神は、実はすでにその危機が訪れる前から、あらゆる方法で人に道を示してくださっているのです。ただ、それを人が悟れるかどうかが鍵なのです。もし人が善を選び、神から与えられた機会を大切にすることができれば、必ずやその出口を見つけ、危機から脱することができるでしょう。

　2022年6月6日の早朝、私はある夢を見ました。夢の中で、私はバスに乗っていました。バスはある停留所で止まり、私はそこで降りました。そこが終点だと思っていたのですが、バスはすぐさま再び動き出し、猛スピードで前方へと走り去りました。そのとき、私は夢の中で恐怖にかられながら、バスの運転手に向かって必死に「どうして止まらないの？　止まって！」と叫びました。というのも、その先に進めば恐ろしい断崖絶壁が待ち構えており、そのまま進めば死へと直結することを私は知っていたからです。もっと恐ろしかったのは、バスを運転していたその女性運転手が、それを知っていながらもなお、まっすぐその絶路に向かって進んでいったということでした。私の叫びは届かず、バスは左前方へと駆け抜け、あっという間に視界から消えてしまいました。私はその場に呆然と立ち尽くしました。

　そのとき、周囲には人が集まり始めていました。その人混みの中から、顎ひげを撫でるひとりの老人が前に出てきて、右手を私の右前方に向けながら、静かにこう語りかけました。「もし神韻がなかったら、もしあなたたちの師父が大法を伝えていなかったら、この地も、そこにあるすべてのものも、とっくになくなっていたのだよ」と。私は老人が指し示した方向に目を向けると、果てしなく続く緑の草原が広がっていました。そしてふと後ろを振り返ると、バス停の標識に「初鹿」と書かれているのがはっきりと目に入りました。その瞬間、私は目を覚ましました。

　目は覚めたものの、夢の光景は今も鮮明に思い出されます。「初鹿」という地名は私にとってなじみ深い場所であり、そしてその音は「出路――出口、生きる道」と同じ響きだということにすぐに気づきました。あの日、私はちょうど神韻公演のメディア取材に出かける予定でした。夢の中の老人が直接語った「師父が神韻と大法でこの土地のすべてを救った」という言葉は、まさに、大法と神韻がすべての生命に生きる道を与えてくれているということの証明ではないでしょうか。

　この夢は非常に鮮明で深く印象に残るものであり、今もなお私の心に深く刻まれています。ただ、ひとつだけどうしても理解できないことがありました。それは、なぜ夢の中の運転手が女性だったのかという点です。そして、彼女は死へ向かうと知りながら、なぜあえてその道を選んでしまったのか。それは今も私の心に問いとして残り続けています。

　神韻は現在、世界各地を巡回公演を行っています。東西問わず、各界の有識者や著名人たちが神韻を称賛し、感動の声を寄せている様子を目にするたびに、私はあの夢を見た年の神韻公演の様子を思い出さずにはいられません。まず、夢を見た翌日のことをお話しします。2022年6月7日は、中国共産党ウイルス（新型コロナウイルス）の世界的流行によって3年間の中断を経た後、神韻が再び台湾の舞台に戻ってきた記念すべき初公演の日でした。当時のチケットはすでに完売しており、注目度の高さがうかがえました。ところが当日は、まるで空が怒ったかのような激しい豪雨に見舞われました。地元の人たちも「こんなに激しい雨は本当に珍しい」と口をそろえていたほどです。それでも、多くの観客が濡れた衣服や靴下のまま劇場に足を運び、雨にもかかわらず、会場は一席も空くことなく満員となりました。私はその光景を目の当たりにし、生命たちの深い喜びと期待を肌で感じました。そして、涙を浮かべながら微笑んで舞台を見つめている多くの人々の姿が、何より印象的でした。

　その年の観客の反応には、「圧倒された」「感動した」「驚いた」といった声が多数ありましたが、特に印象に残っているのは、ある地方自治体のトップの感想です。彼はある仏教で20年以上修行を続けてきた人物であり、神韻公演を観ている最中に、他の空間での非常に荘厳な光景を目撃したと詳細に語っていました。「会場の内外には仙人や仏が集い、舞台上からは慈悲深い神仏のエネルギーが甘露のように降り注ぎ、人々を善へと導き、光明へと向かわせていた」といった具合です。

　2024年4月の台湾公演においても、観客から同様の感動的な声が寄せられました。ある密教の住職は、他空間に現れた尊い現象の数々に心を打たれ、「これは神仏が衆生を救う場であり、神韻は芸術の形を通して、佛様が人を済度する神秘を顕している」と感じ取ったそうです。

　同じような奇跡は、西洋の地でも数多く報告されています。毎年のように、多くの西洋の観客が公演中に神や天使の姿を目撃するという体験を語っています。たとえば、2024年5月にアメリカ・オーランドで行われた神韻公演では、記者のインタビューに対し、ある占い師が自身の体験を語りました。彼は「観客の生命が舞台を見ながらどんどん高いエネルギー状態に引き上げられていくのを感じた」と話し、さらには「劇場と並行する空間に存在する神の姿まで見えた」と証言しました。彼はこう悟ったといいます――神韻とは全人類を救済するためのものであり、出演している芸術家たちは神の使者で、人々を救うメッセージを伝えている存在なのだと。神は人々の選択を静かに見守っており、善良な人々はやがて救われる運命にあるのだと。

　これら数多くの観客の実体験に基づく反響は、すべて真実であり、神韻の公式ウェブサイトや大紀元など、複数のメディアで確認することができます。前述の占い師の言葉にもあったように、神韻の芸術家たちは神の使者であり、極めて高度な芸術を通して人々を善へと導いています。つまり、そうした神の使者を育てるためには、その技術のみならず人格的にも非常に高い基準が求められることは明らかです。そして、その厳しい訓練や日々の努力の過程は、神韻の公式サイトなどを通じて知ることができます。観客としてその努力と成果に触れたとき、自然と湧き上がるのは、深い敬意と感動、そして感謝の念に他なりません。

　しかし、神韻と真っ向から対立する立場に立つ者がただひとつ存在します。それが、「偽・悪・闘」を掲げる中国共産党の邪党およびその追随者たちです。中には、かつてその中に身を置きながらも、自己の水準が及ばずに離れざるを得なかった者、あるいは嫉妬や怨恨を抱き、それがもとで中国共産党の邪霊に利用されてしまった者もいます。けれど、もし理性と良識を備えた人であれば、誰かが意図的に神韻を誹謗中傷しているのを見た時、善と悪を即座に見分けることは決して難しいことではありません。実際、この世で起こることはすべて神の手配のもとにあり、神が許さないことは決して起こり得ません。そう考えると、神韻に対する中傷さえも、もしかすると神が人間の心を見極めるために設けた一種の試練ではないでしょうか。すべては神の計画の中にあるのです。

　人の生命はあくまで一つの過程にすぎず、それはちょうど夢の中でバスに乗って人生の旅路を進むようなものです。混乱の時代にあってなお、人が冷静に善と悪を見分け、善を選び、邪悪を遠ざけることができるならば、神が指し示す「出路（生きる道）」を見出すことができるでしょう。それこそが、生命にとって真の智慧であり、存在の本質的な意味なのです。反対に、破滅へと突き進む運転手の後を盲目的に追いかけてしまえば、その生命が奈落の底に落ちたとき、いかに叫び神に助けを求めようとも、もはや手遅れになってしまうことでしょう。