　【明慧日本2025年7月31日】（明慧記者の王英が編集・報道）2024年7月23日、ロシアの裁判所は、法輪功を修煉していたことを理由に、ロシア人の法輪功学習者（以下、学習者）に対し4年の実刑判決を言い渡した。中共が国外での弾圧を強化している中でのこの判決に対し、アメリカ国務省はモスクワ当局の行為を非難し、ロシア政府にすべての人が信仰の自由を行使する権利を尊重するよう強く求めた。

图1：二零二二年七月五日，娜塔莉亚·米年科娃（Natalya Minenkova）在俄罗斯莫斯科树公园炼法轮功。

2022年7月5日、ナターリヤ・ミネンコワさんがロシア・モスクワの公園で法輪功の修煉をしている様子

　英語版『大紀元』の報道によると、ロシア人法輪功学習者のナターリヤ・ミネンコワ（Natalya Minenkova）さんは、中国で行われている法輪功への迫害について長年にわたり声を上げてきた。彼女は「自分の国が中共の弾圧の道具になっているのを見て心が痛む」と語っている。

　現在47歳のミネンコワさんは、1年間拘束された後、2024年7月23日に「有害組織の活動に従事した」として実刑判決を受けた。判決の前日には、シベリアの当局が別の学習者の自宅を急襲し、携帯電話やノートパソコンを押収している。

　ロシアにおける法輪功学習者への弾圧はこの1年間で激化しており、2024年3月以降、新たに7人の学習者が起訴または拘束された。

　アメリカ国務省、ロシア当局の行為を非難

　アメリカ国務省の報道官は、「アメリカは、学習者を含む宗教的少数派に対するロシア政府の弾圧行為を非難する」と述べた。
さらに、「ロシアがすべての人に信仰の自由を行使する権利を尊重するよう求める。宗教的少数派は、いかなる干渉も受けることなく、信仰と集会の自由を享受すべきだ」と続けた。

　米国議員：ロシアは中共の命令を実行している

图2：美国国会及行政当局中国委员会主席克里斯·史密斯谴责俄国与魔鬼做交易的行径。

アメリカ議会および行政当局中国委員会の主席クリス・スミスは、ロシアが悪魔と取引していると非難した

　アメリカ連邦議会の「米中経済安全保障検討委員会」委員長であり、ニュージャージー州選出の共和党下院議員クリス・スミス（Chris Smith）氏は、ロシアの行為を厳しく非難した。彼は「プーチンと習近平は便宜的な『結婚』を交わした」と述べた。

　スミス氏は「ロシアは中共の命令を実行しており、平和的な学習者への弾圧がその証拠だ」と強調した。さらに「プーチンは『悪魔と取引』を行い、それによってロシア国民の利益を損ない、罪のないロシア人のナターリヤ・ミネンコワさんの利益も損ねた」と述べた。

　2024年6月末には、ロシア国籍の朱雲（Zhu Yun）さんも同様の法律により懲役3年の判決を受けた。また、2024年11月には、ロシア南部の都市ピャチゴルスク出身のオクサナ・シェトキナ（Oksana Shchetkina）さんが、ロシアの裁判所により「好ましくない団体」と指定された「法輪功の友」との関係を理由に、懲役2年の判決を受けた。

　この問題の法律は2015年に成立したもので、「有害な組織の活動を行った」ことを犯罪とみなしている。ロシア当局はこの法律を利用し、100以上の団体や記者、人権活動家を取り締まってきた。

　米国連邦会議副議長：根拠のない弾圧だ

アメリカ国際宗教自由委員会副議長アシフ・マハムード氏

　アメリカ国際宗教自由委員会（USCIRF）の副議長アシフ・マハムード（Asif Mahmood）氏は、ミネンコワさんやその他の学習者に対する判決は「ロシアが国内外の政策目標にそぐわない個人に対して行っている、広範かつ根拠のない弾圧の一例にすぎない」と述べた。

　マハムード氏は、「アメリカはロシアを再び『特別監視国』に指定すべきであり、強力な声を出して、学習者を含む宗教団体への弾圧を明らかすべきだ」と訴えた。

　法輪大法情報センター主任：ロシアの主権と尊厳を損なう行為

图4：法轮大法信息中心执行主任莱维·布劳德表示，俄罗斯的做法“很危险，令人深感担忧”。

法輪大法情報センター執行主任レヴィ・ブラウデ氏は「ロシアのやり方は非常に危険で深く懸念される」と語った

　法輪大法情報センターの執行主任であるレヴィ・ブラウデ（Levi Browde）氏は、法輪功の修煉者を処罰する傾向について「非常に危険で、深く懸念している」と述べた。

　彼によれば、ナターリヤ・ミネンコワさんが実刑判決を受けたのは、学習者への迫害が始まってから26年となる記念日のわずか3日後であり、このタイミングは大きな疑問を投げかけるものだという。

　「それが意図的であっても偶然であっても、このタイミングは北京の戦略と一致しており、中国共産党による権威主義的な弾圧と恐ろしいほど連携していることを示している」とブラウデ氏は述べた。

　また、「北京の圧力に屈し、法輪功を禁止して自国民を拘禁することは、ロシアの主権と国家としての尊厳を損なう行為だ。歴史は、いま世界で最も残虐な共産政権である中国共産党と手を組むことを選んだ人々に、決して寛容ではない」とも述べた。

　国境を超えた弾圧が広がる傾向

　ミネンコワさんが連行されたのは2024年5月で、ロシアのプーチン大統領が中共の習近平総書記と会談する2週間前のことだった。この会談は、両国が「新時代のパートナーシップ」を築くことへとつながった。

　この1年、習近平総書記がセルビアやマレーシアを訪問する前にも、同様の逮捕劇が発生しており、ブラウデ氏はこれらの事例を「北京の影響力に関係した、国境を超えた弾圧が広がる傾向を反映している」と分析している。

　「これらの事件は、モスクワや他国の政府が北京との関係を強化するために、平和的な宗教団体を弾圧の対象として利用している可能性を示している。つまり、弾圧を外交の手段として使っているのだ」とブラウデ氏は語った。

　セルビアやマレーシアでは一時的な拘束で終わったケースもあるが、ロシアにおける状況は特に深刻だ。モスクワ当局は、法輪功に関連する7つの団体を「違法組織」として指定し、主要著作『轉法輪』や中共の臓器狩りを告発する報告書など、法輪功関連の出版物を禁止している。

　ミネンコワさん：自国が中共の共犯になっていることに心を痛める

　ミネンコワさんはある歯科医療機器のサプライヤー企業でアシスタントマネージャーを務めており、法輪功を10年以上修煉している。

　2024年7月23日の法廷で、彼女は次のように述べた。「私たちは、法輪功がどのように迫害されているのか、その真実を語っている。中共はそれを恐れている。今のロシアでは、中共はあなた方捜査官、検察官、そしてロシア連邦保安庁（FSB）の職員を、彼らの汚い仕事をさせるために利用しているのです」

　「捜査当局がどれほど入念に、長期間にわたって、私に罪があるとする証拠を探しても、結局見つけられなかった。なぜなら、そもそも犯罪など存在しないからです。そして、捜査官たち自身もそれをわかっているのです」と彼女は述べた。

　彼女はまた、1990年代に中国国内で法輪功が流行し、当時は7000万から1億人が心身の健康を求めて修煉していたことに触れた。そして、中共が1999年に国家の全力を挙げて法輪功を弾圧し始めたことも語った。

　彼女は、法輪功の修煉によって胃痛や咽頭炎、慢性扁桃炎が治り、性格も改善したという。以前は姉とよく喧嘩していたそうだが、姉からは「大きく変わった」と言われたこともあるそうだ。

　ミネンコワさんは、手紙を書いたり医学フォーラムに参加したりするなど、中共による学習者への継続的な迫害や、臓器収奪の犯罪に対する関心を呼びかけてきた。

　「自分の国が中共の迫害から私を守ってくれないどころか、中共の拷問や殺人、臓器収奪といった罪を暴くこともせず、むしろ中共の道具となって自国民である私を迫害していることに、私は心の底から悲しみを感じている」と彼女は語った。

　「宇宙には一つの法則がある。それは、善には善の報いがあり、悪には悪の報いがあるということだ。私たちがそれを信じるかどうかにかかわらず、この法則は存在している」と述べた。