文／中国の大法弟子

　【明慧日本2025年8月7日】我が家は日用品を扱う小さなスーパーを営んでおり、毎日さまざまな顧客が訪れます。その中で人間模様が見えると同時に、自分自身の心性もあらわになっていきます。しかし法を学ぶにつれ、師父が説かれる「真・善・忍」の教えが少しずつ私の心を溶かしてくれました。次第に自分中心の考え方や、名誉、利益への執着を取り除くことができるようになり、今では晴れやかな心で、利他的な気持ちでお客様に接することができています。私は、大法に同化する素晴らしさを日々実感しています。

　一、1角（0.1元）でも必ず持ち主に返す

　以前の私は、お金を拾えば「運がいい」と思うような人間でした。でも、法を学ぶうちに「失と得」や他人のために考えることの大切さを理解しました。拾ったお金も、自分の徳で返さなければならないということが分かりました。ただ「運が良かった」と思っていた一方で、落とし主の気持ちにまで思いが至らなかった自分に気づき、利己心を少しずつ修めていきました。

　店では、時々顧客が落としたお金を見つけることがあります。10元札や100元札の時もあります。そんな時は必ず監視カメラで確認し、知っているお客であれば次回の来店時に返します。持ち主が現れない場合は、大法の素晴らしさを伝える資料の作成費に充てることにしています。

　ある日、お客が1角（0.1元）のコインをカウンターの下に落としました。隙間はわずか数センチだったのですが私は片膝をつき、顔を床につけるほど低くして、棒で探しました。お客は「そこまでしなくても…」と言いましたが、私は探し続け、ついに見つけて渡しました。そのお客は何度もお礼を言ってくれました。お金そのものより、私の誠意に心を動かされたのだと思いました。

　数日後、そのお客は友人を連れて再来店し、「この店主は本当にいい人なのよ」と紹介してくれました。私はその出来事も、そのお客の顔も忘れていました。以前の私なら、「たった1角だし、拾わなくてもいい」「床に這いつくばって探すなんて格好悪い」と思っていたでしょう。でも今の私は、迷いも見栄もなく、「これは他人のお金、絶対に自分のものにしてはいけない」とだけ考えていました。たとえ1角でも、返すことは私の責任であり、顧客の損失を少しでも防ぎたいという思いからです。

　師父は「修煉に漏れがないとはどういうことでしょうか？　小さいことはありません」（『各地での説法十三』「二〇一五年米国西部法会での説法」）と説かれました。私が届けたのは硬貨そのものではなく、「善意」と「思いやり」、そして「真・善・忍」の心でした。

　二、本当に顧客のために考えれば、心は自然と晴れやかになる

　私の夫も法輪大法の修煉者です。商品の仕入れについて、私は夫と意見が食い違うことがありました。夫は「品質の良い、長く使える商品を仕入れたい」と言い、私は「できるだけ安いものを仕入れたい」と思っていました。特に、何も買わずに帰るお客を見ると「やっぱり高いと感じてるんだ。もっと安いものを仕入れるべきじゃないか」と思うようになりました。一方、夫は「顧客の中には分からない人もいる。特にプラスチック製品なんかは、あまりに安いものは再生材料で作られていることが多くて、すぐ壊れるし、ニオイもする。身体にもよくない。そういう商品は、自分が分かる範囲であれば絶対に仕入れたくない。他の商品でも同じだ」と譲りませんでした。

　実際、夫が選んだ商品は多くの顧客から「質が良くて安心」と評価され、リピーターも増えました。私が選んだ安価な商品は、あまり好評ではなく、リピートも少なかったのです。でも私は「安いものが欲しい人は、そういうのを気にしないし、品質より価格重視で、安いのがなければ買わずに帰ったり、他の店で買かったりしちゃうので、それって損失じゃない？　他の店だって普通に売ってるし」と反論しました。実際、夫が選んだ商品は多くの顧客から「質が良くて安心」と評価され、リピーターも増えました。私が選んだ安価な商品は、あまり好評ではなく、リピートも少なかったのです。

　師父は、何か問題が起きたらまず自分自身に原因を探すよう教えてくださいました。私は自分に問いかけました。「こんな考え方で本当に正しいのだろうか？　仕入れ値が安い分、販売価格も安くして、安さでお客さんを引きつけようとしていた。商品の品質が悪いと分かっていながら売っていた。でも、買うかどうかはお客の判断。使い心地がどうかとか、体に悪いかどうかなんて私には関係ない。お客が『安い！』と喜んで買ってくれるのだし、お金ももらった、それでいいじゃないか。もしそういう商品を仕入れなければ、お客は他の店で買ってしまうだろう。そうしたら、その分の利益は得られない。それって、他の店にお金を渡しているようなものじゃないか。だって、みんなそうやって売っているのだから…」と。

　師父は、「真・善・忍という特性は、宇宙の中の善悪を判断する基準です。善し悪しはそれによって量られます」（『轉法輪』）と説かれました。私はこの考えを整理し、師父の法に照らしてみました。

　商品の質が悪いと知りながら安さで引きつけようという考えは、「真」ではありません。健康によくないと分かっていながら、顧客の自己責任にするのは、「善」ではありません。他の店もやっていて、自分だけが我慢していては損だと思うのは、争う心であり、「忍」ではありません。

　師父は私たちに、無私で他のために尽くす生命になるようにと教えてくださいましたが、私は自己中心的で、自分の利益ばかりを考えており、他人のことを考える余裕などなかったのです。

　そのことに気づいてから、私は考えを改めました。これからは、顧客の立場になって考え、長く使えて、便利で、価格も納得できる、心から満足してもらえる商品を提供したいと考えました。「他も売っているからうちも」ではなく、「私たちは修煉者、大法に従って行動すべき」と思うようになりました。

　顧客第一で行動の基点を正すと、心が大海原のように穏やかで広くなりました。返品や交換にも親切に対応することができ、喜びさえ感じるようになったのです。師父の法理に導かれ、自分を正し、心を修めることで、私は今、晴れやかで堂々とした気持ちで日々を過ごしています。