　【明慧日本2025年9月4日】甘粛省平涼市の退役軍人で法輪功学習者の楊宗霖さん（68）は、今年3月21日に崆峒区の国保（国内安全保衛部門。法輪功迫害の実行機関）の警官・梁涛などにより連行され、不当に拘留され、崆峒区検察庁により起訴された。7月21日に崆峒区裁判所での裁判により1年間の懲役刑（冤罪）を宣告された。現在、楊宗霖さんの体調は非常に悪く、拷問により正常な状態ではなく、胸の痛みや胃痛を訴えている。楊さんは部隊の退役軍官であり、魅力的な風采だった若き頃から迫害を受け、いまでは猫背になり、衰弱している。

　裁判で楊宗霖さんは無罪を主張した。検察官は誤って「刑法」の第300条を用い、「邪教組織を利用して社会を破壊した罪」に該当するとして楊宗霖さんを誣告した。弁護士は「①主体は当事者だが、②客体の被害者がいない（訳注：対象となる被害者がいない）。③主観的には犯罪の意図がない。④客観的に犯罪の実態がない」と犯罪の4要素を挙げた（訳注：日本でいう「違法性を阻却」したという意味）。

　楊宗霖さんは法輪功を学んでいるというだけであり、これは信仰の問題であり、他人や社会に害を及ぼしておらず、他者の精神面も肉体面も傷つけていない。故に、犯罪は成立し得ず、犯罪事実がなければ犯罪とは呼ばれない。弁護士は、「法律を破壊できるのは公権力を持つ者だけであり、楊さんは公権力をもたない一般市民であり、法律を破壊する能力や権限を持ち得ない」と指摘した。弁護士の論証通り、検察官の「刑法」第300条の適用は明確な誤りである。

　検察官は、楊さんが学生に法輪功の宣伝品を配布したと告発している。証人は17人の学生と1人の保護者、1人の教師である。また、監視カメラの映像も提出された。弁護士は「提出された資料には楊さんの指紋がなく、資料が楊さんによるものかどうか特定できない。なぜ公安は指紋証拠を取ることなく、映像を先に公開し、学生に証言させようとしたのか。映像はぼやけており、映っているのはマスクを着用した人物であり、その顔は判別できない」と弁護した。

　弁護士は「なぜこの17人の証人は1人も法廷に出廷しないのか」と質問した。さらに、「未成年の学生を証人としていることに疑問を呈す」とし、「他の教師や保護者も出廷しない理由は何なのか」問いただした。「これは深刻な偽証である」。また、「不鮮明な映像と証人の証言だけでは楊さんが法輪功の資料を配ったと認定できない。たとえ楊さんが配布したとしても、それは中国の法律上違法なことではない。なぜなら、2011年3月1日に国家新聞出版署署長の柳斌杰が発布した50号令の第99条、第100条は、1999年7月以降禁止されていた法輪功書籍の出版禁止令を取消したと規定している」

　弁護士はさらに、「2004年に公安部が発表した14の邪教の中に法輪功は含まれていない」と強調した。弁護士はこの事実を示す文書も裁判長に提出した。会場にいる者たちは皆驚いた。検察官は弁護士に質問するも、弁護士はこれは公式ウェブサイトに記載されている内容だと応じた。「これらは裁判所も当然知っているべき情報だ」と明言した。中国共産党内部でこのように情報の共有ができていない問題がここに露呈している。公安や裁判官など法を運用する現場の公職者が自国の法律に疎く、または法律を知って故意に誤用をしている。法輪功の基本理念は真善忍という普遍価値に従って生きることだが、そこに一片の違法性もない。中国において真善忍が邪悪とされるのは、中国共産党（以下、中共）が意図的に白黒を逆転させているとしか考えられず国際社会では奇異なこととして受け止められている。

　今年3月21日の午後3時過ぎ、善意で法輪大法（法輪功のこと）についての真実を1人の学生に説明していた楊宗霖さんは、中共の虚偽の宣伝を信じて法輪功の真相を知らない教師と学生から通報され、平涼市崆峒区の国保の梁涛らによって拘束された。その後、警官は彼の自宅に押入り、家中を荒らしし、法輪功創始者の写真や法輪大法の書籍等を奪い取った。さらに、警官は楊宗霖さんを崆峒区の留置場に拘束し、15日間不法に拘留した。

　15日後の4月5日、家族が楊宗霖さんを迎えに行くと、平涼市崆峒区の国保の当番員は、楊宗霖さんのいわゆる「事件」は崆峒区検察庁に送検されたと告げ、楊宗霖さんは引き続き拘禁されていることを知らされた。4月9日、崆峒区検察庁は楊宗霖さんを不当に逮捕した（訳注：中国では拘留の後に逮捕という流れ）。