　【明慧日本2025年9月8日】米国バージニア州にある「アジア系コミュニティサービスセンター（ACSC）」は8月31日、連邦議会と州議会の議員候補者、および地方政府の官僚らを招き、有権者と話し合うイベントを開催した。イベントでの主な議題は、中国共産党（以下、中共）による米国の社会・政治・文化への浸透と影響、ならびにこれらに対する米国の対応戦略である。参加者らはメディアの取材に対し、中共による神韻芸術団および法輪功団体への越境弾圧を非難し、米国は法的および外交的手段を通じて、加害者および中共の責任を追及すべきであると表明した。

　法輪大法情報センターの報告：「171件」の越境弾圧

法輪大法情報センター研究員のマーク・楊氏

　法輪大法情報センターが2025年8月28日に発表したデータによれば、2024年3月以降、神韻芸術団および法輪功団体を標的とした暴力的脅迫が累計171件に上る。これらの脅迫行為は、神韻の公演劇場や訓練施設を直接対象としており、爆弾、銃撃、放火などの脅迫が含まれている。

　これまでに実際の暴力事件は発生していないものの、こうした脅迫は、中共が神韻および法輪功に対して恐喝と中傷による抑圧政策を継続している実態を明確に示している。

　法輪大法情報センター研究員のマーク・楊氏はこのように指摘した。「中共による神韻や法輪功への越境弾圧は極めて深刻であり、米国の国家安全保障、主権、そして国民の生活様式を脅かしている」

　2006年に設立され、ニューヨークに本部を置く神韻（シェンユン）芸術団は、伝統舞踊と音楽を通じて純粋な中国伝統文化の復興を目的とし、「共産主義以前の中国」を舞台で再現している。神韻は毎年世界中を巡演し、何百万人もの観客に純粋な美を届けており、あらゆる民族の観客から高い評価を受けている一方、中共による悪意ある攻撃を長年受け続けている。

　かつて北京大学法学部の教授を務めた著名法学者・袁紅冰氏は、『エポックタイムズ』の取材において、習近平が2022年に法輪功に対する越境迫害の強化を命じたことを明らかにした。その中心的手段は、いわゆる「世論戦」（メディア戦）および「法律戦」である。

　法輪大法情報センターの発表によると、2024年3月以降、『ニューヨーク・タイムズ』紙は法輪功と神韻を攻撃する記事を12本掲載しており、これらは中共が操作したプログラムによってソーシャルメディアXに大量に転載された。

　マーク・楊氏によれば、中共がメディア戦や法律戦などの手段を通じて越境弾圧を行っていることは、「中共が米国自身の制度そのものを利用して、憲法修正第1条によって保障される権利と自由を直接損ない、批判者の声を抑え込んでいる」ことを示している。

　同氏はさらにこう付け加えた。「不幸なことに、中共の弾圧がエスカレートするにつれ、法輪功学習者、ウイグル人、香港人、中国の人権活動家、そしてより広範な中国人コミュニティなど、多くのグループが依然として米国で継続的な圧力に直面し続けている」

　共和党候補者「実力で中共の脅威に対抗する」

共和党連邦議会議員候補のスチュワート・ウィットソン氏

　バージニア州の共和党連邦議会議員候補のスチュワート・ウィットソン氏は、アメリカ陸軍の退役将校であり、元連邦捜査局（FBI）の捜査官でもある。彼は演説の中で、中共の脅威がアメリカにとって最大の国家安全保障上の課題であると強調した。

　「中共に対抗する唯一の方法は、実力を示すことである。それ以外に道はない。この実力はあらゆるレベルで示されなければならない」

　ウィットソン氏はメディアのインタビューにおいて次のように述べた。「中共は知的財産を窃取するだけでなく、海外の民間人にも危害を加えている。私はカトリック教徒として、法輪功学習者が迫害を受けていることに注目しており、中国国内で中共によって迫害されているすべての宗教団体に対して深い同情と懸念を抱いている」

　同時にウィットソン氏は、アメリカ国内における中共の越境的な弾圧行為に対し、強い対抗措置を取るよう訴え、「このような脅威を我が国にもたらし、我々の国民を危険にさらすことは、絶対に容認できない。我々は行動を起こさなければならない」と述べた。

　民主党候補「加害者を訴追し、その問題を外交交渉に組み込むべき」

民主党の連邦議会議員候補であるジェームズ・ウォーケンショウ氏

　バージニア州の民主党の連邦議会議員候補であるジェームズ・ウォーケンショウ氏は、イベントの中で次のように述べた。「中共による神韻や法輪功に対する越境的な弾圧は現実であり、私たちのコミュニティとアメリカ全土で起きている」。ウォーケンショウ氏は、故・国会議員ジェリー・コノリー氏の首席補佐官を10年以上務めた経歴がある。

　法輪功や神韻に対する中共の法律戦とメディア戦にどう対処すべきかという会場からの質問に対し、ウォーケンショウ氏は加害者を起訴することを提案した。

　彼は「私たちが持っている最も強力な手段は、アメリカで外国政府のために行動している個人を識別することだ。彼らが法律に違反したら、法律に従い対処すべきだ」と述べた。

　さらに、「すべての米国市民と米国居住者は法律によって保護されるべきである。FBIや情報機関には、このような状況を特定し、技術、戦術、ツールを駆使して反撃し、可能であれば違法行為者を起訴できるようにする必要がある」と続けた。

　ウォーケンショウ氏はまた、中共による法輪功と神韻に対する越境的な弾圧問題を米中外交交渉に組み込むべきだと提案した。

　彼はインタビューの中で、「中共との外交接触において、越境的な弾圧は我々の外交戦略の一部でなければならない」と述べた。

　「軍事関係、貿易問題、インド太平洋問題について議論する際、中共の迫害と越境的弾圧を議題に含め、進展を促進し合意を達成すべきである。中共がこれらの行為をやめることを拒否するなら、さらなる制裁措置を講じ、強硬に対話を進める必要がある」と強調した。

　背景：バージニア州の連邦議会議員補欠選挙

　バージニア州の民主党所属の連邦議会議員、ジェリー・コノリー氏が2025年5月に突然亡くなったため、バージニア州では2025年9月初旬に連邦議会議員の補欠選挙が行われることとなった。民主党の候補者であるジェームズ・ウォーケンショウ氏と、共和党の候補者であるスチュワート・ウィットソン氏がこの議席を争うことになる。

8月31日、アメリカ・バージニア州のアジア系コミュニティサービスセンターで、連邦議会議員候補者、州議会議員候補者、地方官員が有権者と対面し、中共の浸透がアメリカの社会、政治、文化に及ぼす影響と、米国の対応策について議論した。写真はイベントの様子