文／中国の大法弟子

　【明慧日本2025年9月11日】2000年の年末、一人の同修が真相の資料を配ったことを理由に迫害されました。迫害されるなか、その同修が私の名前を言い出したため、私はその後、不当に警察署に連行されました。迫害に抵抗するため、私は警察に協力せず、供述もせず、絶食で抗議しました。2日が過ぎ、心の中は焦りでいっぱいでした。同修や資料拠点はどうなっているのか？　私はここに留まってはいけない。そして心の中で、師父に申し上げました。「師父、私は外に出なければなりません。ここに閉じ込められていてはなりません」

　日が次第に暮れていき、警察署の警察も続々と退勤し、私を見張る2人の補助警察官だけが残りました。私は「そろそろ行くべき時だ」と思いました。手錠を力いっぱい振ると、手錠はすぐに外れました。私は手錠を投げ捨て、急いで鉄門のところへ行きました。手で大きな鉄門を引いてみると、その鉄門はまるで自動で開いたかのようでした。私は門を開けて外へ出ました。大門の外に出ると、2人の補助警察官は私が出てきたのを見ても止めず、ただ後ろからついてきて小声で懇願しました。「あんたが逃げたら、俺はクビになる。家には高校生の子供がいて、妻も失業中だ。あんたが行ってしまったら、俺たち2人とも仕事を失ってしまうんだ」

　当時、邪悪は天地を覆いつくすように法輪功を誹謗中傷し、世人を毒害していました。私は、自分のことが原因で世人が仕事を失い、それによって大法に対してマイナスの印象を持つことを望みませんでした。私は少しだけためらい、自ら審訊室へ戻り、再び鉄門を閉め、地面に落ちていた手錠を拾い上げ、自分で手首にはめました。彼らに影響を与えないために、まるで何事も起きなかったかのようにしました。私は心の中で「師父、本当に難しい選択です！」と申し上げました。その時、本当に師父が慈愛に満ちたまなざしで、私に微笑んでおられると感じました。ただ一瞬のことでした。

　2人の補助警察官は、門の外で私を見張っていました。私は彼らに一晩中、大法の素晴らしさや神の奇跡。そして、自分が修煉を通して実際に得た恩恵と体験を語りました。2人はそれを聞いたあと、スーパーへ行って飲み物とケーキを買ってきて私に差し出し、「お嬢さん、ちょっと食べてよ。そうしないと力が出なくて、彼ら（警察署の人間）と闘えないよ」と勧めてくれました。彼らのその言葉に、私は思わず笑ってしまいました。そして「ご厚意に感謝します。私は絶食で、彼らが私を理由もなく迫害することに抗議しているのです。警察と闘うなんて、そんなことを考えたことはありません」と答えました。

　3日目の朝、警察官は私を市公安局のある庁舎へ連れて行きました。各階の階段口には鍵付きの鉄の扉がありました。3階のあるオフィスに入ると、そこには3つのベッドが置かれていて、一つは私用、後の二つは私を監視する警官用でした。警察官は24時間交代で私を見張っていました。私は彼らに自分の修煉の過程を話しました。2人の警察官は黙ったままでしたが、一人は無表情、もう一人は目に涙を浮かべているようでした。途中、無表情の警察官が食事に出て行きました。その時を利用して、私は部屋に残った警察官に「そんなに悲しまないでください。あなたの善良に感謝します。私は大丈夫です」と言いました。すると、その警察官はドアの外を見やり、小声で「私も同修です」と言ったのです。思いがけない喜びに、私は5日間の緊張が一気に解けました。私は彼女に「私はここを出るつもりです」とはっきり伝えました。同修は「あなた、どうやって出るつもりなの？」と尋ねました。

　そうですね、いくつもの鉄の扉があり、6人の男性警察官がいて、どこから出ればよいのでしょうか。私は、この階で唯一、トイレの窓だけが施錠されていないことに気づきましたが、鉄格子はしっかりと溶接されていました。同修が見に行きましたが、鉄の棒はこじ開けられず、道具もありませんでした。私は心の中で師父に「師父、万能の鍵を授けてください」とお願いしました。すると、そう思った途端、突然天井から小さな物が落ちてきました。私は急いで拾い上げてみましたが、それは鍵ではありませんでした。

　同修はとても不思議に思い、「何もない天井からどうしてこんな物が落ちてくるのか、きっと師父が神の奇跡を示されたのだろう」と言いました。同修は「これで鉄格子を試しにこじ開けてみよう」と提案しました。食事の時を利用して同修が外へ出て、しばらくして戻ってきました。その表情を見て、私はすぐに成功したことが分かりました。師父は一歩一歩、すでに全てを整えてくださっていたのです。後は、私の動きを待つだけでした。私は喜びに満たされ、「ありがとうございます、師父！」と申し上げました。

　ただその時、少し残念に思ったのは、警察官の同修が、私が師父にお願いして授かった万能の鍵を窓の外に投げてしまったことでした。私はそれを記念として持ち出そうと思っていたのです。しかし、今振り返ると、同修が投げ捨てたのも正しかったと思います。もし持ち出していたら、いろいろな執着心を必ず増やしてしまっていたでしょう。

　その日の午後、もう一人の女性警察官が家に用事があり、夜は宿直ができず、夕方6時に先に帰ってしまい、残されたのは私と警察官の同修だけでした。これは師父が苦心して整えてくださった按排に違いありません！　自由をすぐに手にできると思うと、心の中は興奮でいっぱいになりました。同時に同修の境遇を思うと心配になり、どうしてもためらってしまいました。同修は焦って言いました。「私のことは気にしないで。あなたが無事にここを出ることこそが一番大事なことなの。仕事を失っても、私は自分の力で生活できる。屋台を出したり、油餅を揚げたりしてでも暮らしていけます」。私は本当に複雑な思いに包まれました。今のような物欲が渦巻く現実社会では、どれだけ多くの人が、わずかな利益のために大げんかをしていることでしょう。どれだけの親族が利益のために仲違いし、敵同士になっていることでしょう。

　しかし、この同修は私との偶然の出会いで、これまで会ったこともなかったのに、私の安否のために、自らの将来も仕事も利益も顧みず、毅然としてすべてを放下してくれました。人間社会において、この法輪大法による浄土だけが無数の大法弟子を育んでいるのです！　師父は『精進要旨』の「佛性に漏れなし」の中で「無私無我で、なおかつ他人を先に、自分をあとにする」と説かれています。

　夜も更け、静まり返った頃、私たち2人は熟睡しているように見えました。2人の当直の警察官がドアを押して中を覗き、そっとドアを閉めて寝床に戻っていきました。時計を見ると深夜1時過ぎ。そろそろ出る時でした。私たちは抱き合って別れを告げ、互いに「気をつけて」と言いました。窓辺に立ち、漆黒の夜を見つめました。一片の明かりもなく、3階に閉じ込められているため地面の状況はわかりませんでした。私は心の中で叫んでいました。「師父よ、飛んで降ります。どうか受け止めてください」。私は窓枠に登り、身を投げました。「ドン」という轟音と共に、周囲のセンサーライトが全て点灯しました。どうやって飛び降りたのか、考える暇もありませんでした。

　私の足元がまだ定まらないうちに、まるで天から降ってきたかのように、三輪電動自転車に乗ったおじいさんが私の目の前に止まり、「お嬢さん、乗って」と叫んでくれました。そのきっぱりとした声に考える暇もなく、私は急いで電動自転車に飛び乗り、行き先を伝えました。おじいさんは自転車を飛ばして現場を離れました。真冬の真夜中に、このおじいさんがどうして公安局の駐車場に現れたのか、まったく不思議でした。あっという間に目的地に着きました。お礼を言う間もなく、おじいさんの顔さえはっきり見られなかったです。ましてや、どうしてここに現れたのか、尋ねる余裕などなかったのです。おじいさんは現れた時と同じように、あっという間に姿を消しました。

　私は集合住宅の下に立っていましたが、同修が何階のどの部屋にいるのかはわかりませんでした。そこには、避難生活を余儀なくされている5人の同修が一時的に借りている部屋がありました。ふと見上げると、4階の一室の灯りがついており、2人の見覚えのある同修がうつむいて私を見ていました。私は急いで階段を駆け上がりました。7日間絶食していましたが、私は元気いっぱいで、まったく体調に不調は感じていませんでした。私の姿を見ると、みんな非常に喜んでいました。私は不思議に思って尋ねました、「どうして私が来ることがわかったの？」。すると、彼女たちはこう言いました。「さっき小さな目覚まし時計が床に落ちて、私たちはびっくりして目が覚めたのです。電気をつけて確認したら、何もなかったけれど、なぜか窓を開けてみようと思って、そうしたらあなたが下に立って、私たちを見ているのがわかったのです」。慈悲深く偉大な師父は、弟子の一歩一歩すべてに、周到な計らいをしてくださっていました。

　私は7日間の体験を、同修たちに一字一句漏らさずに語り伝えました。師父の巧妙なはからい、大法の奥深さと神秘さ、そして神の軌跡の数々を聞きながら、皆で手を合わせて賞賛しました。私のやせ細った姿を見て、同修たちは心配そうに涙をぬぐいました。そのひとつひとつの光景は、まるで劇のように、ひとつひとつが緊密に繋がり、ハラハラドキドキしていました。なんと貴重な思い出だろう、なんと忘れがたい日々だろう！　かつて毎日を共に過ごした同修たちは、迫害から逃れるために故郷を離れました。また迫害されて身を囚われた同修もいます。大法は私たちの心を固く結びつけ、少しの間も離れることはなかったです。

　偉大なる恩師に叩頭してお礼を申し上げます。業力にまみれ、塵のように平凡な私が、大法の一員として佛の恩恵を受けることができた幸運に感謝します。

　そして、同修たちに心から感謝します。この世において、法を正すこの時期において、この波瀾に満ちた大劇の中で、幸いにもあなた方と共に、この素晴らしいひと幕を残せたことに感謝します。