　【明慧日本2025年9月12日】（明慧ケベック記者報道）ニコルさんは27年前に法輪大法の修煉を始めて以来、心が穏やかになり、喜びを感じるようになりました。

　穏やかで上品なニコルさんが、地元で静かにこの素晴らしい功法を実践していても不思議ではありませんでした。しかし彼女は、なぜただ一人で中国・北京天安門広場へ向かい、法輪功修煉者（以下、修煉者）への迫害に抗議の声を上げたのでしょうか。その行動により、現地の警察に不当に拘束され、国際的なニュースでも報道されました。

　ある朝の出来事

　現在77歳のニコルさんは、カナダ・ケベック市で暮らしています。退職前は、公証業務を扱う事務所を経営していました。

　1997年のある朝、夫が目を覚ましたとき、突然「cinabre（サンニャブル＝朱砂）」というフランス語の単語が耳に浮かびました。意味が気になった夫は、すぐにコンピューターで調べたところ、李洪志先生の著書『法輪功』にたどり着きました。その書籍には「朱砂」に関する記述が含まれており、当時フランス語に翻訳されていたのは3章のみでしたが、夫はその部分を印刷してニコルさんに渡しました。

　その内容を読んだニコルさんは強い衝撃を受け、思わず立ち上がって、「この本を書いた人は誰？　どこにいるの？　絶対に会いたい！」と言いました。夫が「中国にいるよ」と答えると、彼女は「遠すぎるわ」と残念そうに言いましたが、夫が「モントリオールに学習グループがあるそうだ。　行ってみたら？」と勧めると、ニコルさんはすぐに「行きます」と答えました。こうして、彼女の法輪大法の修煉が始まりました。

小雨の日でも、欠かさず集団煉功に参加しているニコルさん

　修煉を始めてから、ニコルさんの心は驚くほど穏やかになったといいます。「以前の私は感情に振り回され、小さなことで自分を責めたり、悲しくなったりしていました。でも、大法の慈悲に満ちた教えに触れ、計り知れない温かさを感じました。感情を冷静に受け止められるようになり、心が次第に穏やかで喜びに満ちていったのです。何かを無理に変えようとしたわけではなく、修煉を通して自然と変わっていきました」

　高速道路での恐怖体験　危機一髪の出来事

　ある晩、ニコルさんは車で大学まで娘さんを迎えに行き、帰宅する途中でした。車内には娘さんの彼氏も同乗していました。高速道路を走行中、対向車線から2台の大型トラックが近づいてきました。その後ろにいた1台の小型車が追い越しをかけた瞬間、突然ニコルさんの車めがけて突っ込んできたのです。ニコルさんは当時をこう振り返ります。「そのとき、強烈なヘッドライトの光が目に飛び込んできました。お互いのスピードが速すぎて、まったく反応できませんでした。まるで正面衝突するような状況で、『もう助からない』と覚悟しました」

　さらにこう続けます。「その瞬間、私の車の右側を、ものすごいスピードで明るい光が通り過ぎていくのが見えました。でも、右側には道路なんてないんです。私は両手でハンドルを必死に握りしめ、恐怖で体が固まってしまいました。後ろ座席で目を閉じて休んでいた娘の彼氏が目を覚まして『何があったんですか？』と聞いてきましたが、私は言葉が出ませんでした。車はそのままエンストし、高速道路上で停止していました。『師父が私たちを守ってくださり、私たちは無事だったのだ』と、私ははっきりと分かっていました」

カナダ・ケベック市で暮らすニコルさん

　『法輪功』を「盗んだ」男性

　その後、ニコルさんはケベック市に法輪場を設立し、この功法の普及に力を注ぎました。やがて、その場所を通じて法輪功を学び始める人々が現れるようになりました。その中に、一人の男性がニコルさんこう語りました。「僕は、『法輪功』という本が本当に好きで、どうしても読みたかったんです。だから、図書館から盗んでしまいました」。それを聞いたニコルさんは「それは真・善・忍の原則に反します。本は皆の物です。勝手に持ち出してはいけませんよ」と、優しく諭しました。その後、ニコルさんは図書館に大法関連の書籍を寄贈し、誰でも自由に読めるように蔵書を補充しました。

　「確かに彼の行動は間違っていました。でも、その熱意から、大法の書籍がいかに人を惹きつけるかを実感しました。それが、私にとってはこの素晴らしい法をもっと多くの人に伝えていく新たな励みになったのです」と言いました。

中国人であれ西洋人であれ、誰もが法輪大法を知る機会を持ってほしいと願うニコルさん

　中国での冒険が国際ニュースに

　2002年、ニコルさんは明慧ネットで、中国の修煉者が中国共産党（以下、中共）により残酷に迫害されている記事を読み、深い悲しみを覚えました。「彼らのために、少しでも力になりたいと思いました。そこで、北京天安門広場に行って、『真・善・忍』と書かれた横断幕を広げ、法輪功への支持を表明することに決めました。モントリオールの修煉者が、黄色い布に中国語で『中国に真・善・忍が必要だ』と書いてくれました。私はそれを服の中に隠し、天安門広場で広げる準備をしました」とニコルさんは語ります。

　出発前、カナダの同修が北京の修煉者とニコルさんをつなぎ、宿泊先の住所を伝えてくれました。北京到着後の初日は、その修煉者の自宅で休み、2日目には案内を受けながら、広場周辺の地理を確認しました。近くの公園では、地元の人々が京劇を披露しており、文化的な一面にも触れました。そして3日目、ニコルさんはひとりで天安門広場に向かい、横断幕を広げようとしました。

　しかし彼女は、当局がすでに厳重な監視体制を敷いていたことを知りませんでした。検問で警官にリュックを開けられ、フランス語版の『轉法輪』が見つかりました。巻末にあった中国語の索引を見て、警官はすぐに彼女が修煉者であると判断し、複数の警官に取り囲まれ、そのまま連行されました。

　ニコルさんは警察署に連れて行かれ、灰色のベッドが1台置かれた汚れた部屋に拘束されました。警官から毛布を渡されましたが、彼女はそれを床に敷いて坐禅を組み、心を落ち着けようとしました。「環境は劣悪で、緊張もありましたが、不思議と恐怖は感じませんでした。師父が私を守ってくださっていると信じていました。ある女性警官が私のパスポートを確認した際、他の警官に『この人には手を出さないように』という目配せをしていました。暴力を受けずに済んだのは、私がカナダ国籍だったからだと思います。外交関係への配慮があったのでしょう」と振り返ります。

　拘束中、ニコルさんは警察署の食事を拒否しました。「私は何の罪も犯していません。ですから、刑務所の食事を取る理由はありません」と示しました。その態度に、警官たちは明らかに不満を抱いていました。彼女は、真実を知らずに学習者を迫害している若い警官たちのことを思い、こう訴えました。「どうか、修煉者を傷つけないでください」。また、喫煙していた警官に対しては、「タバコはご自身の健康にも、周囲にも害があります。どうか吸わないでください」とやさしく語りかけたところ、その警官はタバコを踏み消し、同僚にも「タバコは控えるように」と注意したそうです。

　翌日、ニコルさんは中共政府によって国外追放となり、カナダへ帰国しました。空港では夫のほか、7人の報道関係者が出迎えていました。「カナダ人が北京で不当に拘束された」というニュースは、すぐに国際的に報道されました。

　修煉者として内に向けて探し、トラブルを解消する

　2025年夏、ニコルさんの兄が、自ら申し出て自宅の改装を手伝ってくれることになりました。兄は器用で問題解決能力に長けた人物ですが、意見を曲げず、すべて自分で決めたがる一面がありました。ニコルさんも自分の意志で支配しようとしていたので、「ここは私の家、私のリフォームで、私のお金なんだよ」と、感情的に反発してしまいました。兄も遠慮のない言葉で批判し、空気は次第に険悪になりました。

　そのとき、ニコルさんは修煉者として心性を高めなければならないことを忘れていたのです。

　学法を通じて、彼女は「勝ち負けや支配したいという心を手放さなければならない。兄の言葉を毎回攻撃と受け取るのではなく、ちゃんと耳を傾けるべきだ」と気づきました。「私がその執着を取り除くと、兄の態度も変わり、私の意見を聞くようになりました」と振り返りました。

　工事が終わったあと、2人は一緒に夕食を取り、昔話をしながら和やかな時間を過ごしました。

　ニコルさんは最後にこう語ります。「迷いや葛藤にとらわれたときも、大法はいつも私に光を与えてくれます。師父の慈悲を深く感じています。この世界は恐れや混乱に満ちていますが、もし私たちが正しく、善良であろうと努力し続ければ、きっと闇の中でも光を見いだせるのです。私は、多くの人が『真・善・忍』の力を感じられることを願っています」