文／イギリスの大法弟子

　【明慧日本2025年9月27日】

　師父、こんにちは。

　同修の皆さん、こんにちは。

　2010年の初め、私は中国領事館の前で同修を見かけたことがきっかけで、イギリスでの修煉の道を歩み始めました。ここでは、中国領事館前での平和的抗議活動に参加する中で得た、ささやかな修煉体験を交流させていただきます。

　一、さまざまな困難に直面しても、大法弟子としてやるべきことを続ける

　イギリスに来る前、私は一人の同修も知らず、どこで見つければよいかも分かりませんでした。ある日、中国領事館近くで偶然、煉功する同修の姿を目にしたとき、本当に胸が熱くなりました。

　思わず駆け寄って後ろに立ち、私も一緒に煉功を始めました。その瞬間、まるで中国国内の緊張や恐怖、抑圧から一気に解放されたような感覚があり、心が軽くなりました。それは、中国共産党（以下、中共）による法輪功への迫害が始まる前、同修たちと自由に屋外で煉功していた日々に戻ったかのようでした。このとき、集団煉功がどれほど貴重なものだったかを改めて実感しました。

　その後、同修と連絡が取れるようになり、中国領事館前での平和的抗議活動にシフト制で参加し始めました。これは、私が海外で初めて関わった真相を伝えるプロジェクトでした。

　（1）交通機関での試練

　イギリスに来たばかりのころは、すべてが新しく、しかし非常に不慣れでした。言葉も通じず、地理も分からず、自分が今どこにいるのかさえ説明できない状態でした。大法のために何かをしようにも、まず交通の壁にぶつかりました。

　中国領事館前での活動に参加するため、同修が家からのルートを教えてくれました。地下鉄の乗り換えも一通り覚え、「これなら一人でも行ける」と思っていたのですが、すぐに予想外の事態が起きました。

　参加し始めたばかりのある日、朝5時すぎに、まだ真っ暗な中を6時のシフトに向けて出発しました。地上鉄道から地下鉄に乗り換える際、その日は直通のはずの便の通路が閉鎖されており、全員がいったん駅の外に出て、別の入口から地下鉄に入らなければなりませんでした。まだ慣れていない私は混乱し、遅れるのではと不安になりました。周囲はまだ暗く、英語も話せず、誰にも尋ねることができず、困っていましたが、感覚を頼りに人の流れについて歩いていくと、やがて地下鉄駅の標識が見え、心からほっとしました。「きっと師父が助けてくださったのだ」と思い、心から感謝しました。

　イギリスに来てから数年間、事情により何度か引っ越しをしました。そのたびに新しい交通ルートを覚える必要がありました。また、突発的な地下鉄の故障、乗り過ごし、逆方向の電車に乗るといったトラブルもしばしば起こりました。

　ある日、シフトを終えたあと急いで帰宅しようとして駅を乗り過ごし、戻り方も分からず、電波も届かず、誰にも助けを求められない状況に陥りました。トイレにも行きたくて焦り、苛立ち、怒り、ついには不満が次々に湧き上がり、本当に辛かったのを覚えています。どうやって帰ったのかもはっきりしませんが、それでも、私は次のシフトを一度も休むことはありませんでした。

　ある日、そんな私の頭の中に、師父の法が突然浮かびました。「修煉の中で、皆さんは良いことに出会っても、良くないことに遭っても、すべて良いことです。なぜならば、それらは皆さんが修煉しているからこそ、現れたことだからです」（『精進要旨三』「シカゴ法会」）

　その瞬間、心が一気に晴れました。「ああ、そうか。これら一つひとつの不快な体験は、弟子として成長するための過程だったのだ」と気づきました。苦難なしに修煉はできません。常人にも「失敗から学んで次に活かせばよい」と言っているのです。

　師父は私の知恵を開いてくださり、地下鉄の路線図の見方や、バスや電車の利用方法をすぐに覚えることができました。

　それ以降は、トラブルがあっても慌てず、冷静に対応できるようになりました。特に、神韻のチケット販売活動ではさまざまな場所へ行く必要がありましたが、自力で地下鉄を使いこなせるようになっていたため、多くの場合スムーズに集合場所へ行くことができました。

　（2）地下鉄のチケット購入がもたらした心性の試練

　地下鉄に乗るにはチケットの購入が必要です。当時、娘は留学のためにイギリスに来たばかりで、渡航費用も借金でまかなっていました。私はまだ銀行口座を持っておらず、生活費は娘からもらうしかありませんでした。大法の活動に参加しようにも、まず交通費の問題が立ちはだかりました。「行くべきか、それとも控えるべきか」、心の中で何度も葛藤がありました。特に、海外に来たばかりのころは、何でもポンドを人民元に換算して考えていました。たとえば、地下鉄の定期券を買うと、月に100ポンド以上、人民元にすると1,000元を超えます。これは私にとって決して小さな金額ではありません。「毎月これほどの交通費をかけるなんて」と考えると、気持ちが定まりませんでした。

　ある日、法を学んでいると、師父は「新しい環境の中でも大法弟子が行うべきことをしっかり行うことを望んでいます。どこにいても、あなたは大法弟子なのです」（『2005年サンフランシスコ法会での説法』）と説かれていました。その言葉に触れたとき、「これは、師父が私にどう行動すべきかを導いてくださっているのだ」と思いました。

　大法弟子だからこそ、どこにいても大法弟子としての責任を果たすべきなのです。「自分は今、幸運にも海外という自由で安定して修煉できる環境に来ており、しかも人を救う大法のプロジェクトが人手も必要とされている。そんな中で、私が参加せずにいられるのか？　それはもはや大法弟子とは言えないのではないか？」と、そう気づいた私は、迷いを捨て、利益への執着を手放し、地下鉄の定期券を購入することに決めました。地下鉄はバスよりも料金が高いものの、移動時間が短く効率的です。私は自分の考えを娘に伝えると、娘は理解し、すぐに購入を手伝ってくれました。

　実際、私は日常生活では非常に節約を心がけています。中国にいたころは、豆腐が安いからいつも食べていましたが、イギリスでは豆腐は私にとって贅沢品で、長い間食べていません。

　（3）さまざまな天候の試練の中で修煉する

　長年にわたって中国領事館前のシフトに参加してきましたが、実にさまざまな天候を経験してきました。厳しい寒さにも、焼けつくような暑さにも、強い風雨の悪天候にも、私の担当日であれば迷うことなく現場に向かいました。

　ある年の新年、大雪が降る中、私は領事館前に立っていました。雪を眺めながら、いろいろな思いが胸に湧き上がってきました。東北出身の私にとって、雪そのものは珍しくありませんでしたが、海外で、しかもこのような状況の中で見る雪には、また違った感慨がありました。

　自然と、中国にいたころ、雪の日でも同修たちと屋外で集団煉功をしていたことを思い出しました。当時はそれが当たり前の光景でしたが、今振り返ると、とても貴重な時間でした。現実に戻ると、人々が家族や友人と集い、祝日を楽しんでいる中、私は一人、雪の中の街角に立っています。中共によって無実に迫害されている人々がいることを、世の中の人々に知らせるために、ここにいるのです。そして、世の人々が救われるためです。それは大法弟子としての責任であり、使命なのです。

　ロンドンの天気は変わりやすく、「雨が降る」と言えばすぐに降り出すし、風を伴うことが多く、雨具を着ていても、数時間立っていれば靴もズボンもびしょ濡れになり、体が冷えきってとてもつらいです。気温が低いと、全身が凍えるように寒くなり、それでも活動を続けるかどうかは、まさに心性の試練です。

　多くの人が「中国領事館のあの場所は特に寒い」と口を揃えます。冬は本当に厳しく、防寒着を重ねても寒く、手袋をしていても手がかじかんでしまうほどです。そんなとき、私は師父のお言葉を思い出します。その時、私は寒いことに対して他の方法を取っていました。師父はこう説かれています。「あなたは冷たくて、私を寒くさせ、私を凍えさせようとするのですか？　私はあなたより冷たくなり、あなたを凍えさせます」（『2003年元宵節での説法』）。私はこのように考えていました。

　また、特に暑い日には、まるで火で炙られているように感じることもあります。日傘を差していても、煉功中には汗が滝のように流れます。そのときも、師父のお言葉が思い出されます。「私を暑くするのであれば、逆に私はあなたを暑くさせ、あなたが耐えられないほど暑くします」（『2003年元宵節での説法』）

　私は時々こう思います。「常人は寒いのもダメ、暑いのもダメ、疲れもダメ。それは、常人の思考に囚われているのではないか？」と、それに対して、私たち修煉者は、常人の枠を超えていくべきではないでしょうか？　だからこそ、私は正念をもって、どんな天候にも動じず、領事館前に立ち、大法の素晴らしさと迫害の実態を伝え続けています。

　これ以外にも、さまざまな試練がありました。たとえば、家で1時間座禅しても問題ありませんが、領事館前で座禅を組むと、両脚が激しく痛み、1分が永遠のように感じられることもありました。それでも私は、法を暗唱しながら、じっと耐えてきました。時には、鼻づまり、頭痛、倦怠感で体が重く、歩くのもやっとという日もありましたが、それでも私は、一度もシフトを欠かしたことはありません。

　二、真相を伝え、中国の人々を救う

　法輪大法の素晴らしさと迫害の真相を伝え、衆生を救うことは、師父が私たちに示された「三つのこと」の一つです。特に、中国出身の人々に向けた真相の伝達は、極めて重要です。

　中国領事館前では、時折、中国の民主活動家たちが抗議を行っています。私はタイミングを活かして真相を伝えるよう努めています。

　ある日、若い男性がパネル資料の前で立ち止まっていたのを見かけ、私は声をかけました。話してみると、彼はその日の抗議活動に参加するために来たとのことでした。「イギリスに来てどのくらいですか？」と聞くと、「数カ月です」との返答でした。「法輪功について聞いたことはありますか？」と続けると、「聞いたことはあるけど、詳しくは知りません」と言いました。そこで私は、法輪功とは何か、中国で行われている迫害の実態、さらに臓器狩りの問題について説明しました。彼は話を真剣に聞き、うなずきながら理解を示してくれました。私はさらに、中共の各組織から脱退「三退」の重要性についても伝えました。善悪には必ず報いがあることを話すと、彼は納得し、三退に応じてくれました。

　中国から来た人々の中には、中共の支配に反対しているものの、大法の真相についてはあまり知らない人も多くいます。

　私がここで彼らと出会えるのも、師父が彼らに真相を伝えるよう、私に手配してくださったのかもしれません。だからこそ、できるだけ多くの人に真相を伝えようと心がけています。まずは基本的な情報から話し、状況に応じて三退の話へと進めます。中には、すぐに理解して素直に三退に応じる人もいれば、「自分は全部分かっているから、話す必要はない」といった態度の人や、まったく話を聞こうとしない人もいます。それでも、私は動じることなく、縁のある人を探し続けています。

　これまで接した人の中には、中国にいる間にネット封鎖を突破して、大法弟子のメディアや同修が作った動画を見て、すでにある程度真相を理解している人もいました。そうした人には、三退を促すのも比較的スムーズです。中には、「すでにネット上で三退しました」という人もいます。そうした体験を通して、大法弟子は一つの全体なのだと深く実感しました。私たちのメディアは、衆生を救う上で非常に大きな役割を果たしているのです。抗議活動を定期的に行っている人の中には、私の姿を見ると「また会いましたね。本当にすごいですね」と声をかけてくれる人もいます。

　また、中国領事館にビザなどの手続きで訪れる中国人に出会うこともあります。そうした人に道を尋ねられた時には、その短い時間を活かして真相を伝え、三退を勧めるようにしています。さらに、多くの中国人が、私たちのパネル資料の前を通り、私たちの姿を目にしています。たとえ立ち止まらなくても、話を聞かなくても、資料を受け取らなくても、私たちがその場に立ち続けているという事実自体が、真相なのです。

　三、多くの人々から認められ、支持を得られる

　私たちは、20年以上も変わらずに、中国領事館前での平和的な抗議活動を続けてきました。この活動は今や、ロンドンの中国領事館前における、毎日の欠かせない風景の一つとなっています。長年の間に、どれほど多くの車が、私たちの前を通り過ぎ、どれほど多くの観光バスの乗客が、私たちの姿を目にし、どれほど多くの通行人が足を止め、パネル資料に目を向け、また、どれほど多くの人が署名ボードにペンを取り、名前を書いてくれたでしょうか。さらには、言葉ではなく行動で、私たちへの関心と支持を示してくれた人々も、数えきれません。

　ここでは、印象に残っている出来事を、二つご紹介したいと思います。

　中国領事館前には、毎日2人のイギリス人警官が交代で警備にあたっていました。ある年の1月の寒い日、私がいつものように煉功をしていた時のことです。そのうちの一人が通りを渡ってこちらにやって来て、まず「おはようございます」と声をかけてくれました。そして、私の後ろにある建築設計事務所のカフェでコーヒーを2杯買って、再び戻ってきました。そのうちの1杯を私に差し出してくれたのです。私は手を振って丁重にお断りしましたが、その善意が本当に心に沁みました。彼にとっては自然な振る舞いだったかもしれませんが、海外に来て間もない私にとっては、それはまったく予想外のことであり、言葉にできないほどの感動がありました。中国の警官と比べると、それはまさに天地の差でした。

　もう一つの出来事は、ある雨の日のことです。私は雨の中、座禅をしていました。すると、1台の車が私の近くに停まり、中から一人の女性が降りてきて、私の目の前にやって来ました。そして、10ポンド紙幣を手渡そうとしたのです。私は「ありがとう」とお礼を伝え、受け取りませんでした。そして、チラシが置いてある場所を指さし、「どうぞ、こちらから資料を自由にお取りください」と伝えました。彼女はそちらに向かい、1枚のチラシを取ったあと、なんと手にしていた10ポンド紙幣を資料ボックスの中にそっと入れて、私の方を見てニッコリと微笑んでくれました。私は深く感動しました。

　これまでにも、座禅を終えた後、気づくと横に果物やサンドイッチなどの食べ物が置かれていたことがあります。雨の日には、誰かが傘を差し出してくれたこともあります。私たちの写真を撮って、SNSに投稿してくれた人もいます。また、私たちの背後にある建築設計事務所の方々も、とても親切で、お手洗いを自由に使わせてくれるだけでなく、雨の日には「中に入って雨宿りしてください」と声をかけてくれるスタッフもいます。そして、話しかけてくれる人もいて、たとえ言葉が分からなくても、表情や身振りから、その人が中共の邪悪さを理解し、私たちを支持してくれていることが伝わってきます。彼らが大法弟子に善意を示してくれることで、きっと自らに明るい未来を選んでいるのだと思います。

　私は十数年間携わってきたこのプロジェクトを通じて、常に自分自身を修め続けてきました。振り返ってみると、ここまで歩んでこられたのは、すべて師父の法が導いてくださり、数々の困難を乗り越えさせてくださったからです。そして、師父の慈悲深いご加護のおかげで、私は一歩一歩、前へ進むことができました。私たちがプロジェクトに参加する中で、常に自分を修煉者として律し、自らを修めることを忘れなければ、きっと衆生を救うために十分な役割を果たすことができるのです。

　最後に、師父の法を謹んで引用し、皆さまと共に励みとしたいと思います。

　「弟子：領事館の前で煉功したり、正念を発したり、請願したりすることの意義についてもう一回お話をいただければと思います。私たちは晴雨にかかわらず、毎日領事館の前で煉功しています。条件は良くありませんが、みな落ち着いて行なっています。

　師：各国にある領事館は中国の窓口であり、海外にいる中国人が陳情するところなので、もちろん行なって良いのです。そこにも済度され得る人がいるので、重大な意味を持っています。しかも、皆さんが行なった全ては世の人々の目にも留まっています。しかし、大法弟子は本当に非常に大変です。北の冬はとても寒くて、骨にしみるほどの寒風ですが、大法弟子は依然として頑張り続けており、本当に素晴らしいのです。みな自分の法を実証する道を歩んでいるので、領事館の前にいる学習者も自分の法を実証する道を歩んでいます」（『各地での説法五』「二〇〇四年米国西部法会での説法」）

　間違ったところがあれば、ご指摘をお願いします。

　師父、ありがとうございます！

　同修の皆さん、ありがとうございます！

　（2025年イギリス法輪大法修煉心得交流会原稿）