文／中国の大法弟子

　【明慧日本2025年12月22日】（前文に続く）

　邪悪な狂気　避難生活を余儀なくされる

　2008年、中共（中国共産党）はオリンピックを利用し、「重点人物」と見なした大勢の法輪功学習者（以下、学習者）を大規模に連行しました。北京へ陳情に行ったことのある学習者は全員ブラックリストに載っており、私も例外ではありませんでした。警官が連行に来る直前、我が家のドアを叩く者がいました。夫がドアを開けると棟長（住んでいる建物の棟の責任者）が立っており、部屋の中をチラリと覗き見てから「部屋を間違えた」と言って去っていきました。「顔見知りなのに、なぜ間違えるのかしら？」と不審に思った矢先、再びノックの音がしました。同じ寮に住む同修でした。彼女は急いで「下に警官が20人以上来ている。あなたを目当てに来たのか分からないけれど、とにかく早く隠れて！」と言い残し、階段を駆け下りていきました。

　咄嗟にどこへ逃げるべきか考えました。階下には警官がいます。私はある友人のことを思い出し、書き込み済みの真相紙幣をすべて袋に詰め（当時は必死でしたが、実際には非常に危険な行為でした）、迅速にその友人の家へと走りました。彼女の家のドアを叩き、「トラブルに巻き込まれたの。警官が来たから、少しの間ここにいさせて」と頼むと、彼女は「早く入って」と受け入れてくれました。私が家を離れた直後、警官の集団が我が家のドアをこじ開けました。「どこへ行った？　さっきまでいたはずだ！」と、彼らは隣近所まで探し回りましたが見つけられず、業を煮やしていたそうです。

　夜遅くなってから、友人が階下の様子をうかがいに行ってくれました。戻ってきた彼女は「まずい。警官があなたの家の前で見張っている。帰っちゃだめよ」と言いました。私は友人の家に2日間身を寄せました。2日後、610弁公室、派出所、警官の一団が、遅番の仕事を終えて寮に戻ってきた私の子供を待ち伏せし、頭に袋を被せて連行したという知らせが入りました。それを聞いた時、深い悲しみがこみ上げてきました。

　警官は夫に対し、「母親（私）が出頭すれば子供は交換で帰してやる」と言い放ったとのことでした。子供が不当に連行された後、家の前にいた見張りは撤退しました。私が家に戻ると、夫は恐怖で魂が抜けたようになっており、私の出方を見ていました。親戚たちも皆、子供のことを心配して集まっていました。私が口を開く前に、子供の叔母がこう言いました。「あなたが行ってはだめよ。2人とも捕まってしまう」

　叔母は文化大革命を経験しており、邪党の騙しの手口をよく知っていたのです。夫と親戚が派出所へ解放を求めに行きましたが、警官は相変わらず「母親と交換だ」と繰り返すばかりでした。夫は毎日ビクビクして過ごし、いつ警官が踏み込んでくるかと怯え、夜も電灯をつけられないほどでした。私は、これ以上家に留まることはできないと感じました。警官が依然として私を捜索していたため、私は家を離れざるを得ず、その日から放浪生活を余儀なくされました。

　同修のところに身を寄せましたが、数日経つと周囲の同修たちも大きなプレッシャーを感じ始めました。警官たちが諦めずに私を捜し回っていたからです。私は同修たちの困難を思いやり、そこも去ることにしました。どこへ行けばいいのか、誰を頼ればいいのか、精神的にも肉体的にも限界を感じていました。親戚の家にはすでに警官の手が回っていました。夜の街を、私はあてどもなくさまよい続けました。

　その時、慈悲なる師父が「〇〇さんのところへ行きなさい」と啓示をくださいました。私がその同修の家へ向かうと、同修夫婦はまだ起きており、私の姿を見て喜んでくれました。　「どうしてうちに来ないのかしらと、ちょうど2人で話していたところなのよ」

　師父の按排と同修たちの真心に感謝しました。同修たちの助けを借りて、私は正念を取り戻し、邪悪を暴露し、法を実証する活動を再開しました。数カ月の放浪生活の中で、私は多くの人心を取り除くことができました。

　数カ月後、同修から「お子さんが家に戻ったわよ」と教えてくれました。私は「もう帰るべき時だ、怖れる心はない。堂々と家に帰ろう」と決心しました。帰宅した翌日、夫と子供が「仕事の斡旋があるから」とコミュニティ（居住委員会）へ行く準備をしていました。

　私はピンときました。また彼らの嘘です。「私も行く」と言うと、夫は「行ってはだめだ！」と怒鳴りました。夫は私に危険が及ぶのを何よりも恐れていました。私は一旦「分かった、行ってらっしゃい」と見送りましたが、彼らが出た後、すぐに後を追いました。コミュニティに到着すると、ちょうど入り口に戸籍係の警官がいました。彼は私を見るなり「最近どこへ行っていたんだ！」と叫びました。私は大きな声で答えました。「あなたたちが私を追い出したんでしょう。なぜそんなことをするのですか？」。すると、コミュニティの書記が「帰ってきてよかった、まあいいじゃないか。コミュニティの電話は海外にいる法輪功の人たちからの電話でパンク状態だったんだよ」と言いました。

　私が家を離れた後、同修がコミュニティ関係者の電話番号をネットに公開し、海外の学習者が真相を伝えてくれたのです。そのおかげで、彼らも少なからず真相を理解し、態度が軟化していました。私たちの全体的な協力が邪悪を威圧したのです。援助してくださった海外の同修の皆さんに感謝いたします。

　子供は、私が連行されたことが原因で元の仕事を失い、コミュニティは代わりに個人の幼稚園での仕事をあてがいました。しかし子供は「あれは仕事じゃない、（自分に対する）監視のためだ」と言って、怖がって行けなくなりました。中共の迫害は、私の子供の心に極めて大きな傷を残したのです。

　棟長（棟の責任者）の正体を暴き、悪事を制止する

　中共の「敏感日（政治的意味のある日など）」のある日、またしても我が家のドアを叩く者がいました。見ると、今度は別の棟長でした。「何かご用ですか？」と聞くと、彼女は「借家人を探しているの」と言い、私が問い返す暇もなく逃げるように去っていきました。案の定、すぐに派出所、警官、街弁（街道弁公室のこと。行政の末端組織）、地域コミュニティの集団がやってきて、「派出所の者だ」とドアを叩きました。夫はドアを開けず、小窓（のぞき窓や防犯ドアののぞき穴）越しに応対しました。夫が「あなたたちが私の子供をあんな目に遭わせたんだ」と責めると、彼らは「あれは我々ではない、前の担当者がやったことだ」と責任を逃れようとしました。夫は「派出所がやったことに変わりはない」と突っぱねました。

　私は立ち上がり、「何の用ですか？」と聞きました。警官が「ドアを開けろ」と言うので、「開けません」と答えました。コミュニティの者が「あなたの様子を見に来ただけだ」と言うので、私はこう言いました。「私が失業した時も、病気になった時も、コミュニティの人は誰も助けに来てくれませんでした。私は法輪功を学んで健康になったのです。もう様子を見に来る必要はありません」。新しい戸籍係がドア越しに私の写真を撮ろうとしたので、「肖像権の侵害です」と抗議しました。彼は慌てて「自分を撮っているだけだ」と言い訳したので、「だったら家ではなく、派出所へ戻って自分の顔でも撮っていなさい」と言い返しました。彼らが「上司がもうすぐ来るんだ」と言うので、「今はもう上司なんていませんよ、みんな捕まった（失脚した）でしょう」と答えました。彼らは「外でずっと立っているんだ。水を一杯くれないか」と食い下がりました。「いいですよ。お金を渡しますから、下の売店で飲んでください」と答えると、「コップ一杯でいいんだ」と言います。ドアを開けさせるための罠だと分かっていたので、私は「一杯の水でもご馳走します。キッチンから（キッチンにお金を外の者に渡せる隙間がある）お金を渡しますから」と言いました。そこへ彼らのリーダー格が上がってきました。部下たちが「彼女はどうしてもドアを開けません」と報告すると、リーダーはしばらく立ち尽くした後、「行くぞ」と言って全員を連れて立ち去りました。

　階下へ降りた警官は、門衛に「40分も立っていたのに、彼女（私）はどうしてもドアを開けなかった」とぼやいていたそうです。警官車両はそのまま走り去りました。

　翌日、同修と相談し、私は昨日の棟長と話しをすることにしました。同修は「彼女の家へ行くより、入り口で待っていたほうがいい。彼女は毎晩外出するから」と助言してくれました。その日の夕方、入り口で待っていると、本当に棟長がやってきました。門衛の人たちも集まっていました。私は挨拶をしてからこう切り出しました。「昨日、家に来て借家人を探していると言いましたね。私は借家人ですか？　あなたが去った後、すぐに警官が押し寄せてきました。あなたが通報したのでしょう？」。棟長は「違う、私はそんなことしてない」としらを切りました。私は言いました。「そんなに偶然が重なるものでしょうか？　私たちは同じ寮に住む隣人ではありませんか。私たちは法輪功を学んでいるだけで、誰も傷つけていません。なぜ通報するような真似をするのですか！」すると、そばに座っていた１人の男が私に向かって「さっきからグダグダと何分喋っているんだ！」と怒り出しました。隣の人が小声で「棟長の夫だよ」と教えてくれました。私は答えました。「私はまだ数分しか話していません。以前、蒋という棟長が通報したせいで、私の子供は連行され、数カ月も不当に拘束されました。子供がどれほど傷ついたか！　数分話しただけで我慢できないのですか？私たちは無実の罪を着せられているのです」。門衛の人たちは「事情はよく分かったよ」と言ってくれました。人間には分かっている一面があります。それ以来、そのような告発をする者はいなくなりました。

　③へ（続く）